Global Career Guide
元・外資系人事部長、1万人を面接したグローバルキャリアカウンセラーの鈴木美加子です。本日は、「内定を巡る駆け引きに勝つ」をテーマにします。
面接後、結果を待つ身は辛いですが、合否の連絡が来るまでは1-2週間くらいかかります。理由は、他にも候補者がいて一斉に面接できるとも限らないので、全員の面接が終わるのを待つからです。
2週間以上音沙汰がないのはあまり良い兆候ではありません。もちろん、GWが間に入ったり、最終決定権を持つ駐在員外国人が夏休みを取る8月や、クリスマス休暇を取る12月は、ほとんど案件は動かないのでさらに長い期間待つことになります。
2週間経って合否が届かない時は、転職エージェントに状況を聞いてもらうのが良いでしょう。転職エージェントは、候補者が聞いているというアプローチは取らないので、任せて大丈夫です。直接やり取りしている時は、待つことをお勧めします。催促しているように聞こえたら自分にとってプラスにならないからです。
内定が出たら3日以内くらいに返信することになりますので、複数のオファーを持っている候補者は短期間で決定しなければなりません。それぞれの会社の条件に長所と短所があり、迷うことになりがちです。
ここで立ち戻りたいのは、今回の転職を何のためにしているか、価値観の優先順位の再確認です。「年収」「やりがい」「マネジメント経験」「学校に通いたいので残業が少ないこと」など、転職の理由は様々ですが最も重要な要素は何であるかを思い出せば、揺らぐことはないはずです。
例えば3社から内定が出たとします。
A社:名前のある企業で年収が上がりますが、自分が本来したい仕事と少しズレがあります。
B社:日本に進出したばかりの企業で任せてもらえるのでやりがいがあり、経験値を短期間であげられそうです。年収は希望の線ギリギリです。
C社:日本法人に35年の歴史があり、合併を繰り返して来ました。自分がやりたい仕事ができるポジションです。年収は、希望の線に達していません。
上記の3社のどれを選ぶかは、ひとえに候補者の価値観の優先順位によります。
年収ならA社、やりがいならB社かC社、より外資的な社風を求めるならB社でしょう。どの選択が良い悪いではなく、このタイミングでどの選択をすべきかは、転職理由に立ち戻れば明らかになります。振り返りを忘れると、目移りしてしまい、どの会社を選べば良いか迷うことになりますので、ぜひ忘れないでください。
候補者にとって理想は、複数の内定が同時に出ることです。しかし現実には、足並みがなかなか揃わないことが考えられます。第二志望の企業から内定が出て返事を急かされている一方、第一志望の企業からの返事がなく判断に困るようなことは多々あります。この場合、第二志望の企業にどう対応したらよいかの策は二つあります。
a) 職場を見せてもらう
オフィスのレイアウトには、企業文化がかなり明確に出ます。私は面接のプロセスで会議室に通されることが多く、職場の様子が見えない企業には必ず職場を見せてもらっていました。
パーティションで区切られたオフィスなのか、島型のオフィスなのか、企業文化はだいぶ違います。もちろん、島型の方がコミュニケーションを取りやすいというメリットはありますが、ここは個人の好みです。この頃はオープンスペースのオフィスも多いです。働いている皆さんの様子を見渡せば、一目で企業文化が掴めるでしょう。
b) 一緒に働く人に会わせてもらう
上司になる人や、さらに上の役職の人達と面接してきたとすれば、同僚がどんな人なのか気になるのは当然です。「同じ部の同僚になる人に会いたい」「部下になる人に会いたい」とリクエストして、ミーティングを少し先に設定することで時間も稼げます。
実際にこの企業に入社することになった場合、一度同僚や部下と顔を合わせておくことは本人にプラスに働くので無駄にはなりません。
転職するにあたり、内定はなるべく複数もらいたいところです。タイミングが合うようにするためには、上記のような駆け引きも必要になります。ご自分にとってベストの企業に入社できますように!
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。