Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。良い本を見つけたので、久しぶりに英語学習についてお話しします。
書店で英語のコーナーにいた時、平積みの量がすごかったので思わず手に取った本、本日のテーマである「会話もメールも 英語は3語で伝わります」by 中山裕木子 ダイヤモンド社 です。2016年10月に発刊されて、2017年4月に第12刷という好調さです。日本人の英語は、ともすると複雑でわかりにくいという視点から、My job is to teach English. より I teach English. の方が知的でわかりやすいが基本の考え方です。
学校英語の延長で社会に出て、職場でメールなどを書くようになるとついシンプルに書くことを忘れてしまいがちです。例えば、受身(能動態)で文章を書いてしまいます。English can be used by anyone. より Anyone can use English. の方がシンプルでインパクトもあり、よりナチュラルな英語に近いのですが、ついつい学校で習った能動態を使う癖が出てしまいます。本に出てくる他の例では、The project was started by the manager. より、The manager started the project. の方がわかりやすいです。
また、学校で習ったイディオムも全て忘れていいと説いています。なぜなら単語ひとつで同じ意味を表す動詞が必ず存在するからです。
– He makes use of information on the internet.
– I will get rid of suspicions emails.
– The revolution gave rise to political changes.
は、それぞれ下記の方がわかりやすく、よりナチュラルな英語です。
– He uses information on the internet.
– I will delete suspicious emails.
– The revolution caused political changes
その他にも、There is/are構文をバッサリ捨てることも推奨されています。これは、主宰するグローバル人材育成塾・世人塾の参加者のライティングにも多いので、うなづきながら読みました。例えば、There are three female members in this group. より、Three female members have joined this group. もしくは、This group has three members. の方がはるかにベターです。日本語には、「ある」「いる」を、主語を明確にしないでも使えるのが、ついThere is/areを使いたくなる理由なのではと本書は指摘しています。
「3語に情報を足す」章では、前置詞を取りあげていますが、絵がついていてそれぞれの前置詞のニュアンスが大変わかりやすいと思いました。「on」「in」「at」のどれを使えばいいのか実はよくわかっていないというような場合、本書は役に立つと思います。
途中のコラムに「和英辞書を引くのをやめて、知っている単語で乗り切ろう」というお話しが出てきますが、おっしゃる通りです。世人塾のプレゼンテーションで難しい単語を使おうとして、思わず「えーっと」がでてしまう方がいらっしゃいます。私は、「やりくり下手」と呼んでいますが、TOEIC700点には700点の語彙が、900点には900点の語彙があり、一足飛びに難しい英単語を使うのは残念ながら無理です。今知っている単語をやりくりすれば、つっかえることもなくスムーズに会話することができるので、「知っている単語で乗り切る」ことに大賛成です。
この本は、TOEIC900点以上の方は読まなくて良いと思いますが、まだそこまでいってない方は、一度読むと頭の中が整理されるし、よりナチュラルな英語を書いたり話したりできるようになると思います。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。