Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは、キャリア形成は自己責任です。
皆さんのキャリア・ビジョンはどんな絵になりますか?一昔前であれば、会社員は社長もしくは役員になるのがキャリアのゴールだったかもしれません。時代は変わり、副業をする人が増え、その延長線上に起業を考える人もいる世の中になりました。キャリアのゴールは、人それぞれになったといえます。
どのようなキャリアパスを選ぶにしても、専門性を持つ事は重要で、その専門性を磨くためには自己責任でキャリアを切り開いていく力が必要になります。
外資系では、今就いている職務にコミットメントは求められますが、会社に対しての忠誠心は求められません。管理職自身が、一生その企業に勤めるつもりはおそらく無いので、自分の部下たちに生涯の忠誠心を求めることはそもそも成立しないです。
私は最初の上司に恵まれたラッキーな人間です。GE Japanに入社した時、上司がワーママで両立の大変さを目の当たりにしました。何より入社したばかりの私相手に1ヵ月に1回は1:1(One on One, 1対1の面談)をしてくださり、 「美加子さんは、将来、どんなキャリアを歩みたいの?」と聞いて下さったのです。前提は、上司も私もいつかGEグループを離れる時が来る、でした。当時の日本企業では、もしかして今でも日本企業ではありえない会話かもしれません。
当時の私にキャリアのビジョンはまるでなく、返答に困ることばかりでしたが、キャリアを築くのは自分の責任なんだと刷り込まれた事を、本当にありがたかったと思っています。後日談ですが私は3年半後に、彼女は18年後にGEを辞めることになりました。
社員を縛らないのが当たり前と思っていた私は、ある外資に人事部の責任者で転職した時に、新卒から一度も転職したことがない40歳くらいの社員に対し「あなたはどうして転職したことがないの? 一生、この会社にいるなら良いけれど、転職するつもりがあるなら45歳までには出ないと外資はダメだから気をつけてね。」と声がけしてしまいました。のちに、その社員から「心の底から驚いた」と言われました。非常に優秀な人で、44歳で転職し、2社目で大きく花開きました。
昨日、第4日曜日の夜に開催しているスペース「外資転職相談室」で似たような話になり、現在、外資・日本法人の社長をしているスピーカーは、時々冗談交じりで「まぁ僕もいつまでいるかわからないけどね」と言うことがあり、一生その会社に勤めるつもりはないと、全社員がわかっているだろうと話されていました。
現在5社目の欧米系IT企業に勤務しているスピーカーは、今まで数多くの上司とキャリア面談してきたけれど、お互いにそれぞれのキャリアゴールを、属している企業の枠の中ではなく、もっと広い舞台で話し合うので、それが当たり前だと思っていました、と話してくれました。
会社に個人を縛るつもりがそもそもない。裏返してキャリアを切り開いていくのは社員の責任、というのが外資のありようなのです。与えられることを待っていては何も生まれないので、社内の研修で自分が受けられるものがあるのであれば、自ら率先して手をあげたり、補助金制度があるのなら外部の自己研鑽プログラムに参加して、補助をお願いしたりして研鑽を続けたいです。
また、新たな視点を得るために、社外人脈が欠かせない時代です。多様性こそがイノベーションを生み、同質性は新しいものを生みにくいのは自明の理ですが、一つの企業カルチャーを共有している方々とだけ会話をしていると、その箱の中にいる自分しか思い描けなくなります。Comfort Zoneを出てみると、自分とは全く違う価値観の人がいて「そんな考え方があるんだ」と目の覚める思いができます。結果として自分の行動が変わるかどうかは置いておいて、行動を変えたくなるような新しい「思考・価値観」に巡り会えるかどうかは大きいです。
人と比較して自己肯定感が下がるのは良くないですが、自分の軸をしっかり持ちながらも、自分とは違う価値観に触れ必要があれば軌道修正できる柔軟性を持ちたいです。忙しくてビジネス交流会に参加したりできないという方、今の時代SNSで素敵な方々に出会うこと可能です。アンテナさえ高く立てておけば、出会えて良かったと思える人達と繋がれます。通勤電車の中、移動中、ランチの残り時間、隙間時間は結構あるものなので有効に活用すればいいだけです。
キャリアのゴール・人生のゴールがますます多様になる中で、どの道を選ぶのか、選択肢は自分にあることを思い出し自ら切り開いてください。外資系で専門性の高い転職をし成功するために、満足感が高い人生を送るために、キャリアを築く責任は自分にあることを常に意識して欲しいです。応援しています!
Twitterでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki 良かったらフォローしてください。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。