Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の下に書かれています。
今回の相談者・橘さんは42歳の男性です。新卒で入社した日系のメーカーに3年勤め、現在の日系メーカーに転職しました。社内異動が頻繁に行われる企業で、既に3つ違う部署を経験しています。1年前、IT部門からマーケティング部に異動になりました。
ITの仕事は非常に楽しかったのですが、マーケティング部に異動してから、自分に合っていないし、会社にも貢献できていない気がして悩んでいます。この先のキャリアをどうしたら良いかが相談の内容です。英語は社内TOEICで810点を取得しています。
まず橘さんの4つのカラーを見ます。圧倒的な強みは、細かいことが得意な青です。99%と言う事は100人の人が並んだ時、前から2番目にいる青の特徴が強い人材です。青の特徴とは、規律重視・根拠重視・信頼性がある・実践的などです。社内ITの仕事が非常に楽しかったのは、橘さんの「青」を活かせていたからと想像できます。
人間重視の緑、結果重視の赤はスコアが20%台で、100人いたら後ろから1/4が立ち位置なので強みとは言えません。またビジョン重視の黄色に関しては、100人並んだ中で一番後に並んでいる状態なので、なるべく使わないことがキャリアの成功につながります。残念ながらマーケティングにはこの黄色が不可欠です。現在、マーケティングの仕事に対して大きな疑問を抱いているのは自然といえます。
次に橘さんのマンダラを見てみます。強みは規律重視 ・堅実(細かいことが得意) ・内向的になります。IT以外でも、法務部・経理部・事務職が適職です。
橘さんの特徴は、「青」の傾向が非常に強く、他の色がほとんど無いことです。一芸に秀でる人材になりやすいので悪いことではないのですが、青の資質を活かせない仕事についている場合は本人が苦しいですし成功しにくいです。
確認のために橘さんの24のクオリティーを見ます。マーケティング部での仕事に必要な創造性・革新的のスコアがとても低いことがわかります。
橘さんが再び自信を取り戻すためには、マーケティングから出て青(細かい事が得意)を活かせる仕事に移る必要があります。ここで考えるべき点は二つです。
1. 再び日系企業に転職するかどうか
橘さんのこれまでのキャリアに、適職にあたる法務部・経理部・事務職の仕事は無いため、社外に転職する場合はITの仕事を目指すことになります。日系から日系への転職の方がカルチャーギャップは少ないですが、転職しても再び社内異動になることを避けたい橘さんは、キャリアの方向性を自分がコントロールしやすい外資系に転職することになりました
2. 初めて外資に移る場合は、42~43歳がギリギリの上限
橘さんは、転職に向けてアクションを早く取る必要があります。なぜなら、外資系が「初めて」外資に転職する人を受け入れる年齢の上限が、42〜43歳だからです。職業人として20年、日本企業のやり方で仕事をしてきた人が、外資系に移ったときのカルチャーギャップはかなり大きいものがあります。本人だけでなく、トランジションをサポートする同僚にも負担がそれなりにかかるので、まだ柔軟性を保っているとみなされる42~43歳が「初めて」外資に転職するギリギリの年齢になります。
橘さんの次のアクションは、英文履歴書を整えLinkedInにアカウントをきちんと準備して、転職活動を早くスタートさせることです。企業文化とのフィットはよく考えた方が良いので、OpenWorkなど現役生・卒業生の口コミサイトも確認したいです。LinkedInで志望する企業の卒業生を検索して、積極的にDMを送り実情を聞くことも欠かせません。
橘さんは無事にキャリアの方向性が決まりました。迷ったら、自分の資質を棚卸しすることも適職が明確になるので有効な方法です。比較的時間にゆとりのあるゴールデンウィークを、キャリアの方向性を見直すことに使うのもいいですね。興味がある方はこちらをご参照ください。
皆さんが強みを活かした仕事につけるよう祈っています!
Twitterでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki 良かったらフォローしてください。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。