Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
日差しが強く暑いのか、台風で雨なのかわからない、目まぐるしいお天気が続いています。健康でいるには、お天気に合わせて装うことが必要ですね。
合わせるはまさしく、、異文化コミュニケーションに当てはまります。
この季節、10月1日に入社する外国人新卒向けの異文化研修と、企業での日本人向け異文化研修の両方に向けて準備が必要になり、頭が混乱しそうになります。テキストに書いてあること、エクササイズが全く反対になるからです。
日本人向けと外国人向けがどう違うのか、幾つかご紹介します。
日本人向け – 人種・性別・宗教などの要因が異なるチームの方が、高い生産性を出せることをまずは意識しましょう。英語圏は日本ほど権力格差がないので、上下関係を強く意識しすぎると、丁寧すぎたり親密な関係を築けなかったりします。フラットな社会であることを意識してください。「お客様は神様です」は、説明しても理解できない感覚だということです。英語で呼びやすいニックネームを持っていますか? ファーストネームで呼ばれることに慣れていますか?
外国人向け – 比較するとほぼ単一民族に近いので、「違うこと」を受け入れることが簡単ではないのが日本人です。職場で親しい仲間がすぐできなくても、英語でのコミュニケーションが原因であなた個人の問題ではないことがほとんどなので、気にしないでください。お客様は神様という考え方に慣れてください。
日本人向け – 英語でのコミュニケーションで一番大切なポイントです。結論から入って、根拠・理由を一貫性があるように説明し、最後にもう一度結論を繰り返します。前置きが長すぎると、英語ネイティブは心の中で「だから言いたいことは?」と叫びたくなるでしょう。また途中で、But, And, Butのような流れになっていたら、すでにロジカルでない証拠です。
外国人向け – 日本語では結論を最後に持ってくるのが自然の流れなので、英語で話していてなかなか結論が出てこなくても、最後までよく聞いてください。
途中で話が蛇行してわからなかったら質問して構いませんが、相手が非難されたと取らないような言い方が大切です。
日本人向け – 自分の意見を人前で発表できることは重要です。会議で発言もしないでただ座っていると、貢献していないとみなされますし、最悪、能力が低いと誤解されます。英語が完璧であるかや、正しい発言ができているかをきにするのは日本人とごく一部のアジア人で、他の国の人は気にしません。会議で発言できなかったら、せめて気のきいた質問をするなどの工夫をして貢献している姿勢を示しましょう。
外国人向け – 日本人が黙っていたとしても、何の意見もないと自動的に思わないでください。人前で発言するように教育を受けていないだけなのです。会議で誰かに意見を述べて欲しいときは、「誰々さん、どう思われますか?」のように指名すると出てきやすいです。ただ日系企業の場合、自分より上位の役職者の前で発言することは良しとされないので、気をつけてください。
最後にボディランゲージの違いを一つご紹介します。
日本人向け – 英語人のうなづく行為は、”I agree.” か”I understand.” を意味します。英語に慣れている方は、英語を聞きながらうなづき続けるということはしないのです。特に交渉をしていて、”No”という方向で話しているのにこちらがずっとうなづくと、相手が混乱するので要注意です。
外国人向け – 日本人が人の話をうなづきながら聞いているのは、「あなたの話を聞いていますよ」という共感力を示しているのであって、「あなたの言っていることに同意します」ではないので、誤解が生じないようにくれぐれも気をつけてください。
幾つかご紹介しましたが、こうしてみると本当に違いますね。グローバル人材であるということはこのカルチャーのギアを相手によって切り替えられるということです。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。