Global Career Guide
海外とのプロジェクトの進め方で困ったことはありませんか?
今日は、ローカルなプロジェクトを例に、日本とどのくらい感覚が違うかを比べてみます。
週末、友人宅の最寄り駅がメンテナンスで閉鎖になりました。2駅の間をメンテナンスするために、金曜日の夜8時から日曜日の深夜12時まで52時間電車が使えない事態でした。代わりに、臨時のバスを市内に向けて出すとのこと。
日本では、週末の日中に電車が止まる事はまず滅多に起きないでしょう。お客様は神様で迷惑をかけてはいけないという考えなのか、深夜に働いてくれる人たちが乗客の不便を防いでくれているのですね。いつもは当たり前のように思っていますが、今回は思い出して感謝しました。
この小さなプロジェクトには思うことがたくさんありました。まず、たった2駅間のメンテナンスに、52時間も電車を止める必要があるとは思えません。オーストラリアは効率を重んじる国ではないし仕事はゆっくりなので、まぁ必要な時間数なのかもしれません。
私はその日どうしても市内に出る必要があり、臨時バスに乗ろうとしました。駅に行ってみたところ、どこが臨時のバス乗り場なのかわからず、思わず「オーストラリアらしい」と思ってしまいました。とりあえず立っている駅関係者に聞きましたが、その後も見ていると全員が同じ人に聞きに行っています。日本なら要所要所に看板を立てて、一目でわかるようにするだろうなぁと思いました。
臨時バスの出発停留所に着きました。関係者にどこに行きたいのか聞かれ、Flinders Station(市内のハブ駅)と答えました。何も言われなかったので、当然Flinders Stationまで行くんだろうと乗り込みました。実際は最後までわからなかったのですが、このバスはParliament行きで、私は一駅乗り換えました。なぜ一言「このバスはParliament行きだから、一駅電車で乗り換えて」と言ってくれなかったのかは謎です。
バスは発車しましたが、市内のどこ行きで何時ごろ到着予定なのかのアナウンスがありません。そして、どこにも止まらない急行だと聞いていたのに、電車の各駅に近い場所に1箇所づつ停車します。おまけにロックに近い音楽がかなりの音量でかかっています。公共のバスで音楽がかかっているのは初めての経験でしたが、乗客への配慮より運転手さんの好みが優先されるところがおかしかったです。
No worries. (なんとかなる。適当でいいよ。心配ない)
市内まで行くとわかっているのだから、それで良し。約束の相手に遅刻する可能性が高いとメッセージを送って、せっかくだから電車からは見えない風景を楽しむことにしました。
メルボルンに住んでいた時に、電車がいきなり途中で止まり「この先はバスになる」と言われる経験は何回かしていたので、最初から電車が動かないとわかっていただけマシでした。このエピソードは、仕事の効率・顧客満足度に関する感覚が、国によって非常に異なることの具体例です。オーストラリアは世界で1番効率の悪い国ではないので、似たようなこと、もしくはもっと効率の低い事は、違う国相手にも起こりえます。
グローバルに仕事をするようになったら、相手の仕事に関する常識が、どのレベルなのかをなるべく早く見極めて、相手に何をどのぐらい任せるのか任せないのかを決めないと、プロジェクトが思うようには進みません。
前出のエピソードでも想定外が出てきましたが、外国人と仕事をするようになるとよく経験することで、日本人はストレスに感じがちです。
日本人ほど時間厳守な国民は他にはいないので、相手が締め切りを守れないとイライラしがちです。グローバルで仕事するにあたって時間感覚は覚悟するしかありません。最初の締め切りを短めに設定して先方がどう反応するかを見ましょう。最初の締め切りを落とすような場合は「締め切りは守れないタイプ」と覚悟して、相手に渡す締め切りそのものを前倒しにするしかありません。プロジェクトを計画する時に、全く時間にゆとりがない組み方はせず、随所にロスを取り返す予備の時間も必要です。想定外のアクシデントをなるべく楽しむつもりで、計画通りに行かないプロジェクトの舵きりをできる船長になりましょう。
「郷に行っては郷に従え」とはよく言ったものです。自分の背負っているカルチャーを唯一無二と思わず相手に押しつけず、想定外にも対応できるグローバル人材を目指しましょう。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。