Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。本日は、外資系企業に転職する時の動機について検証し、本当のところはどうなのかをテーマにします。
外資系企業に転職したい場合の主な転職理由を挙げ、本当に外資勤務にメリットがあるのかどうか、落とし穴はどこなのかを見ていきます。
現職から横すべりの(仕事の大きさが変わらない)転職になる場合、大きなジャンプは難しいですが、明らかに昇進になる転職の際の年収アップは確実に見込めます。日本企業から外資系に移る場合も、年収は上がります。ただ正確に比較するには、日本企業の住宅手当や社食で節約できる金額を計算に入れてください。
働き方改革関連法が2018年に成立しましたが、長い残業時間や休暇が取りにくいなど、日本企業にフレキシブルな働き方が浸透するのには、まだ時間がかかりそうです。比較すると、外資系企業は個人主義で成り立っているので、個人の時間を尊重する風潮があり、例えばフレックスタイム・時短などを使いやすい職場が多く、飲ミュニケーションや休暇が取れないということが発生する頻度は低いです。
職場の同じメンバーで毎晩、会社や上司やその場にいない同僚の悪口を言っていても何も生まれないので、その時間を家族と過ごしたり自分の研鑽のために勉強したり交流会に出かけたりするために使うことができます。プロセスを重視せず結果を重んじる外資系では、群れなくても仕事ができれば評価されるので大丈夫です。温情主義ではないということです。
一つ例外は、規模の大きい外資は日本に進出してから時間が経っていることが多く、外国人比率が低くなるので企業風土が日本的になります。外資度が高い職場に転職したい人は要チェックです。
人間関係はどこの職場にもつきものですが、日本企業の場合、同調圧力が強い=みんなが同じであることを暗に求められるので、集団から少しはみ出す行動を取ると「出る杭」になり、人間関係がこじれることが多いです。また、転職率が低いので、一度上司になった人の下に何年いることになるのか見えない点も難点です。
外資系の場合は、上司も部下もいずれは転職する確率が高いので、目の前の人間関係の悩みは1年で解決するかもしれません。短気を起こすのは損になります。また、どこの職場でも起こり得るだろう人間関係の問題を解決しないで、逃げの転職をすると同じようなことが次の職場でも起こりますので、逃げではなく「卒業」の転職をしたいものです。
面接の時はくれぐれも、人間関係を転職理由にしないでください。人事は第三者、「喧嘩両成敗」と思っています。二人の人間がいて関係がこじれた場合、どちらか一方だけが100%悪いことはまず無いと思っているということです。会社・上司・同僚の悪口を言う人は、入社した先でも同じことをしますので、候補者として敬遠されます。
外資系は実力主義であり年功序列を重んじないので、出世に年齢・性別は関係ありません。仕事へのコミットメント度が高く、人より早く昇進したい人は間違いなく外資に行った方が有利です。極端な例ですが、モルガン・スタンレーに勤めていた時、31歳で外為部のトップ、社長の直属の部下になれた人がいます。ダントツで実績が高かったことを評価されて、外資証券会社でも異例に早い出世でした。ここまで早くなくても、○○歳にならないと次の役職に上がれないというような縛りは外資には存在しません。
以上、皆さんのイメージ通りでしたでしょうか? 今、転職を考えている理由は上記に該当しましたか? 入社してから予想外のことが起きないように、各企業の総合評価を見られる、オープンワーク (https://www.vorkers.com/) などのサイトを見ておくことをおすすめします。企業の待遇面の満足度、20代成長環境、人事評価の適正感、女性活用など、様々な働きやすさの指標が数字になっていて目安になります。データだけでない生の声、できれば入りたい会社、最低でも同じ業界に現在勤務している人に話を聞くことができれば、かなり皆さんにとって成功度の高い転職ができるでしょう。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。