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もっと自己肯定感を高くしよう

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは自己肯定感です。

キャリア相談をしていて、自分に自信がない方が多いと感じることが結構あります。十分、外資に転職できる経歴でありながら、「年齢」や「キャリア」が気になって、「自分なんて無理」と思い込んでしまうタイプです。高いレベルと比べて出来ないと誤解しているのかもしれませんが、勿体ないです。

日本人に自己肯定感が低い人が多いのは、完璧を求める国民性から来ています。ホフステードの6次元異文化論で、日本人の「目標必達・欠点の修正を求める・業績重視」度は0~100の尺度で95。世界でも名だたる「最高峰を極める」国民です。モノづくりに活かされると最高品質を生み出せますが、人生の全てに持ち込むとストレスを抱えたり一歩を踏み出せないことになります。

また「想定外を回避したい度合い」も日本は高く、スコアは92です。どうなるのか見通せない状況が得意でなく、石橋を叩きまくってしまいます。前出の完璧を極めたいスコアと掛け算すると、「自分なんてまだ足りない」ことになり、思考もネガティブに陥る傾向にあります。このまま外資への転職活動に臨むのは、得策ではありません。

自己肯定感が低い方が、外資との面接で交わしがちな面接官との会話の例を挙げてみます。

Q1. ◯◯の経験はどのくらいありますか? と聞かれて、

A1. ▲▲のプロジェクトに2年ほど参加したことがあります。サポート的な存在でしたが、他部署の多くの方と仕事ができて良かったです。

この会話の改善点は、「サポート的」と自ら伝えていることです。採用側がベテランなら深掘りされていづれはわかることかもしれませんが、自分から言わなければ露呈しない可能性はあるのです。自己肯定感の低さから思わず正直に伝えてしまったのだと思いますが、外資との面接であることを考えると言わないほうが良い一言になります。

外資には概ね、自己肯定感が高い人材が集まります。つまり100の実力を110に見せることが簡単にできます。特に個人差があるものの外国人は、100を140くらいに見せられる人もいます。その中で「あまりできなかった」ことを示すことは得策ではありません。

「ドイツ人はなぜ肯定感が高いのか」(キューリング恵美子著)の中で、ドイツ人が他人の目を気にせず自分のために生きていること、見習いたい点が多いことが記されています。日本人とドイツ人の肯定感に関するデータが出ているのですが、

Q1. 私は自分自身に満足している

ドイツ人 81.8%    日本人  45.1%

Q2. 自分には長所があると感じている

ドイツ人  91.4%    日本人 62.2%

Q3. 自分は役に立つ人間だと感じる

ドイツ人  68.2%    日本人 48.2.%

ハイコンテクストの空気を読む文化の中で、評価を気にして高みを目指すと自分に満足できない人になりがちなのかもしれません。

休暇のために仕事をしているドイツ人の生産性はGDP69.8 ドル(約7,678円)、日本人の47.5ドル(約5,225円)と比べて1.5倍近く高いのです。1日8時間労働だとして、日本人がドイツより年間44日も多く働いていることを知ると、本当に働き方改革を進めないと何のために長時間労働しているのかわからないことになってしまいます。

謙虚の美徳が存在する国で、大風呂敷なのは良くありませんが、自分の実力を客観的に判断して「足りないところ」ばかりを見ない習慣をつけることは大事です。環境は大きいので、ポジティブな人に囲まれるよう自分が置かれた職場・プライベートのコミュニティなどを見直してみてください。人生は楽観的な方が楽しいし、最後は楽しく生きている人の方が、より理想に近い人生を送れます。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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