Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは、“NOが言える日本人になる”です。
皆さんは、「お断り」を上手に伝えられるタイプですか?それとも、なんとなく伝えて、無言を先方にNOだと察してほしいタイプでしょうか?
英語でグローバルに仕事をする上で、「NOを伝えられる」かは大事です。
最近こんなことがありました。ある企画をコラボするかどうか考えますと言ってくれた方から、1ヵ月お返事がありませんでした。私は米系の外資系企業で25年を過ごした人間でNOは伝えられるので、この状況をどう理解したら良いのか困ってしまいました。
すでに結論はNOだけど私に伝えづらいのか、それともまだ考え中なのか判断できません。リマインダーを出して良いものかどうかも悩み、日本人特有の無言のNOだと自分の中で受け止めることにしました。
もしかしたら、日本はタスクより人間関係を重視する文化なので、私という「人」に対して断るのは悪いと思ったのかもしれません。「申し訳ない」という気持ちですね。
英語人と仕事をするには、ここは「事象」を重視して、その企画を一緒に出来るか・出来ないかにフォーカスし、返事を考えるので気が楽かもしれません。わたし個人がどうのこうのではなく、一緒にやると工数が増える、決定のプロセスが複雑になるなど「事象」を「人」から切り離せばいいのです。
NOにも色々な伝え方があります。紋切り型では相手が不快な思いをするかもしれませんが、理由を添えれば人はそれぞれに考え方が違うので、しょうがないと相手も納得しやすいです。
ミーティングで反論するときも、Wrong (間違っている) と Different (異なる) は違うと理解できると、ローコンテクストの国出身の人が物をはっきり言うことが気にならなくなります。彼らはあなたを否定しているわけではなく、「事柄・意見・プロジェクト」など事象に対して異を唱えているのです。返事を必要としている人に、何も伝えないと相手が困ることも多いです。
昔、起業したての頃、イギリス人の友達が私を起業家が集まるパーティーに誘ってくれました。会費は15,000円です。私は彼に正直にメールを出しました。「私のことを思い出してくれてありがとう。独立したばかりで、どんなパーティーなのかよくわからない集まりに15,000円は出せないかも。でもまた勉強会があったら誘ってね」と送りました。
彼からの返事は「ミッキー返信ありがとう。欠席を早く知らせてくれて助かった。確かにどんなパーティーなのかわからない集いにしては高いかもね。時々勉強会をやっているから、また誘うね。」と書いてくれました。
私が欠席を早めに彼に伝えたのは、もしかして集客のノルマがあるのではと思ったからです。行けないなら行けないと、伝えてあげたほうが親切ですよね。
彼には勉強会に誘ってもらい、1年ぐらい参加していました。あの時私がNOを伝えられず、無言で欠席を伝えようとしていたら、イギリス人の彼に「YESなのかNOなのか、ハッキリしない日本人とつき合うのはやっぱり疲れる」と思われ、それっきりになったでしょう。
相手が返事を待っている時、結論がNOだとしても大丈夫。相手としては、結論がわかった方が、次のアクションに移れるので助かります。英語人は「察する」文化では育っていないことを念頭に置き、仕事でNOを伝えないといけない場合は、なるべく早く理由を添えて伝えましょう。
本日はグローバル人材の基本「NOが言える日本人になる」がテーマでした。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。