Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回は、20代の方が外資への転職を考える際に気をつけたい重要なポイントをテーマにします。
20代は、専門性を確立したいと考えている一方で、やりたいことや強みが明確でない場合が多いです。外資がポテンシャル採用をする唯一の世代なので、守りに回らずやりたいことにチャレンジして自分の道を探して欲しいです。履歴書に一貫性がなくなる不安を口にする人もいますが、30歳くらいまでは大目に見てもらえます。もちろん「ポテンシャルがありそう」「まだ軸が定まっていない感じだけど、仕事は出来そう」と面接官に思ってもらえる人材であることが前提です。
自分の強み・適職がわからなくて悩んだら、精度の高い適性診断を受けることをお勧めします。適性診断は、自分の能力や適性を客観的に把握する手段として非常に有効です。自分の現職が適職かどうか、もしNOであればどういう職業が天職なのかがすぐわかります。道が決まったら、あとは専門性磨きをすれば良いので時間効率が良いです。
さて実際の転職活動において、採用側の外資が20代に求める4つの要件について内容を確認します。
1. 経験値
20代の経験値と言っても、最年長の29歳で社会人歴7年、まだまだ中堅には届かない世代です。転職して職種も変えている場合は軸もぶれるので、1つの仕事に関する経験は浅いでしょうから、仕方ありません。履歴書を準備する時、面接を受ける時に注意したいのは、短いながらも個人として出した「成果」があるかどうかです。もしくは自分から積極的に取り組んだ仕事・プロジェクトがあるかです。
外資は「自立型」人材を評価します。自分から道を切り拓く努力ができるのか、ただ受け身で会社の言う通りに日々を過ごしているのかは大きな差です。「自立型」であると見せられない人は採用されませんし、外資に入社してからも大変なので積極的に仕事に取り組んだ具体例を履歴書に書き、面接でも担当者に伝えましょう。
2. スキル
こちらもまだ専門性を確立するまでには届いていないでしょう。自分から学ぼうという姿勢を持っているか、実際に新しく学んだことがあるかは問われます。資格試験にチャレンジしている、スクールに通っている、英会話を継続しているなど、向上心があると思ってもらえることが重要です。
単発のセミナーや勉強会に自分から申し込んで参加していることもアピールポイントになります。学びが得られるだけではなく、異業種の社外人脈が広がるきっかけにもなるので20代に特にお勧めしたいです。
3. 熱意
ある会社にどうしても入社したい想いは、よほど口下手でない限り面接官に伝わります。会社が大好き・製品やサービスが大好きな気持ちは、言動に現れるからです。経験が足りない分を「想い」で補うことが許容される、唯一の世代が20代です。ただがむしゃらなだけは頂けませんが、向上心を持つ頑張れる人材であることを面接でアピールすることはプラスに働きます。
長く面接官をやっていると、第一志望なのかそうでないのかは高い確率でわかるようになります。決め手はこの「熱意」です。志望動機を聞いたときに、競合他社にも該当するような答えでは見抜かれるということです。
4. 素直さ
20代は職場のほとんどの人が目上になるでしょう。彼らに引き上げてもらえる人材になれるのか、「可愛げのない奴」と思われているのかは雲泥の差になります。外資では直属の上司が生殺権を持つので、彼/彼女とそりが合わないと場合は自分が出ていくしかありません。媚びへつらう必要は全くありませんが、素直であることは大切です。面接では a)上から目線でモノを言う b)敬語が使えない c)斜に構えて扱いにくそうに見える、を避けてください。
最後に、外資系企業への転職を考えている20代の方には、自己啓発にも積極的に取り組んでほしいと強く思います。外資系企業は競争が激しく、常に最新の知識やスキルを要求されます。自己啓発は、専門性を高めるだけでなく、将来のキャリアの可能性を広げるためにも不可欠です。自己啓発の方法は多岐にわたりますが、例えば、書籍やオンラインコースの学習、業界のトレンドを把握するなどがあります。自分の興味や関心に合わせた方法で自己啓発を行い、自己成長を継続することが大切です。
20代は成長の可能性で外資に採用してもらえる唯一の世代です。自分の専門性を早く見つけるように試し、見つかったら専門性を高める努力を続けることで30代以降のキャリアの成功をつかんでください。自分自身の将来を見据えた積極的な行動が重要です。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。