Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。先週末、英語での電話面接に備え、練習をされたいと言う方にお目にかかりました。今日はアメリカ人面接官に合わせた「アサーティブネス」について、お話します。
候補者の方は、かなり流暢な英語でこれまでヨーロッパ企業にしか勤務されたことが無い方でした。現在、小さめのフランス系アパレル・メーカーの人事にお勤めで、大きな米系食品メーカーの人事のポジションで最終面接を受けようとされていました。2社前は、イタリア系の食品メーカーにお勤めでした。 この転職が成立すれば、食品メーカー → アパレル → 食品メーカー という動きになります。
まず、”Can you explain your work experience briefly?” と質問してみました。本社との最終面接ということは、このレベルのチェックは日本サイドで終わっているので聞かれる可能性は低いですが、どの程度、ご自分をアピールできるかを見たかったのです。とても控えめな方で、キャリアの最初から事細かにご説明くださいました。アメリカ人面接官からすると、a) まずはトータル12年の人事経験があることを最初に持ってきて欲しい b) 大学卒業後から詳細に説明していると、話が長くなりすぎるので、最近の2社くらいにフォーカスして欲しいだろうと思いました。”Briefly”と釘を刺されているので、話が長くなりすぎないことはとても大切ですし、地頭も試されています。まずは12年の経験があると自分のアピールからスタートして、少し肉付けをするくらいが丁度良いです。
転職歴に関して、”You moved out of food industry once and now is considering to move back. Why would you like to come back to food business?” とお聞きしたところ、”Current employer is a small company. I would like to work for a more stable company.” とお答えになりました。これは、アメリカ人受けしないお答えです。安定を求めているなら、何も我が社でなくても良いということになりますし、そもそもアメリカ人は、「チャレンジ精神・リスクを取る」のが好きな国民なので、「安定を求めている」はネガティブにしか聞こえないでしょう。面接受けする答えは、”I feel I hit ceiling at my current employer in terms of career advancement.” とか、”I learned so many things at the current company while making contributions. I doubt there is a lot for me to learn any more.” のように、成長志向が見えるような返答です。
他に気になったのは、志望動機が弱く聞こえることです。なぜ我が社なのかがピンと来ないし、ぜひ入社したいという情熱を感じません。アメリカ企業は意欲を見せることが大切な組織なのです。Mission Statementに共感した、業界初の女性CEOがいることをすごいと思う、食べ物は人間の体を作る大切なもので、特に御社が扱っている食材はQOLにダイレクトに影響するので志望したなど、具体的な理由をいくつか考えておきましょう。表現力が豊かでない比較的サラッとしたタイプの候補者だったら、声のトーンを少し上げるなど多少芝居がかっても、どうしても入社したいを伝えるべきです。
まとめると、アメリカ人相手の面接で重要なことは、a) 嘘のない範囲で、自分をPRするよう努力する b) ネガティブは好まれないので、ポジティブに聞こえるように言い換える c) 短くロジカルに的確に答える になります。
(以上は相手がアメリカ人でなくても、米系企業の日本法人での面接にもかなり当てはまります)
あとは、日本人の場合どうしても完璧を目指すので、「私の英語力で英語の面接、大丈夫だろうか?」と心配になりがちです。私も最初の電話面接をボストンとした時は、終わったら背中が汗だくになっていたので、気持ちはよくわかります。でも、フィードバックを聞くと「この程度の英語で大丈夫だろうか」と日本人特有の心配癖は杞憂であることがわかりました。自分へのハードルを上げすぎないよう気をつけてください。相手は、あなたがネイティブスピーカーでないことを理解しています。最後は度胸と話に中身があるかどうかなので、恐れずに自分をPRしてください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。