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面接に受からなくてラッキーなこともある

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

面接に落ちるとガッカリしますよね。たとえ第一志望では無いあまり気乗りしていなかった企業だとしても、なんだか拒否されたように感じて気落ちします。

最終的には自分に合う一社とご縁があれば良いので、転職活動の途中で一喜一憂しないで済むといいなぁと心から思います。それでなくても、転職活動には結構なエネルギーが必要です。「次行こう、次」で行けるといいです。

第一志望がうまくいかなくて、ガッカリしている人がおられたら、私の「面接で落ちてラッキーだった」ストーリーを読んでいただき、元気になっていただけたらと思います。

入りたかった会社の顛末

ある時、Y製薬会社の面接を受けました。仕事が面白そうで、車通勤を続けられて、なんとも和モダンなオフィスが気に入り、この会社に入りたいと強く思いました。

面接後、「ご経歴・お人柄は良いのですが、転職が多すぎますねぇ」とお断りが届いた時は、自分でも呆れるくらいガッカリしてしまいました。転職が多いことなんか、履歴書読めばわかるじゃないと思ったりもしました。それでもなんとか気持ちを立て直して転職活動を続け、半年後には違う企業の人事の責任者として転職しました。

それからわずか3ヶ月後、つまりはY製薬の面接を受けてから9ヶ月後、日経新聞の一面に「Y製薬買収」の文字が躍りました。買収「したのか」「されたのか」、夢中で先を読みました。答えは、「買収された」でした。「買収された」企業のマネジメントが、仕事を失わずに済むことはまずありません。

あのまま晴れてY製薬に転職できていたら、私は転職したばかりの会社で社員に転籍していただいたり、お辞めいただいたりすることに終始し、しかも最後に私自身が職を失ってもう一度転職活動することになったのです。

時間とエネルギーを使って転職した末に、胸が痛むことばかりの仕事に明け暮れるなんて、想像するだけでもぞっとします。

「神様、ありがとうございました。面接に受からなかったことを感謝します」が、正直な感想でした。「人間万事塞翁が馬」という諺の意味が初めて腑に落ちたとも言えます。物事の良し悪しは、時が経ってみないと本当にわかりませんね。

そして肝心なことも思い出しました。面接の時は良い職場に思えて舞い上がりましたが、一つだけ気になったことがあったのです。それは、人事の候補者を最初に面接するのが、なぜ財務本部長なんだろうかということでした。外資は縦の線で見事に分かれているので、本来はおかしい人選です。

長期的に人事を任せる人を探していたのではなく、人員整理要員を探していたから、それでよかったのでしょう。外資では珍しい労働組合と、対峙できるかどうかを判断できれば良かったわけです。私は労働組合の無い会社を選んで転職していたので、彼らの要件を満たしていませんでした。

「違和感」をそのまま放置しない

面接の最中に「違和感」を感じたら、どんなに表面上、良い会社に見えてもそのまま放置しないことをお勧めします。違和感の裏に必ず理由があるからです。

違和感の例には、オフィスの格差もあります。米系投資銀行に面接に行った時、大手町の本社の見事な受付や高そうな家具が置いてある会議室に、28歳の私は目がくらみました。2次面接で神保町のオフィスに行った時、オフィスの調度品がだいぶ格落ちになったことに、気がついたのに見ないふりをしてしまいました。

この違和感は、フロント・オフィスと言われるお金を稼いでいるトレーダーや投資銀行家と、コストセンターである管理部門の社内での位置付けをそのまま反映していて、私が3年半後に転職をする理由の一つになりました。

面接の時に緊張しすぎて答えることに精一杯で精神的にゆとりがなく、相手が見えない状態なのは危険です。面接は、いわばお見合い。選ぶのは採用する企業側だけでなく候補者側でもあるので、どうかお相手を客観的によく見てください。

そして何より、ある会社が自分に合った素晴らしい職場かどうかは、本当は入社しないとわからないので、書類選考に通らなかったり面接で合格できなかったりしても、あまり心のエネルギーを使わないで「次行こう、次」の精神で前進できますように。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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