Global Career Guide
今回の相談者は住宅メーカーで営業をしている37歳の男性、桜井さん(仮名)です。新卒からずっと営業をしていて、営業成績は平均点とのことです。売り上げノルマを常に背負うことにプレッシャーを感じており、そもそも営業に向いているのだろうかと悩んでいます。
悩んでいたタイミングで、信頼するマーケティング部門の部長から声をかけられました。率直に現状を相談したところ、販売促進のポジションが空く予定なので、社内異動を検討しないかという提案を受けました。新卒時代から自分を知る管理職からのオファーであり、未知の分野ではあるものの、挑戦すべきか迷っています。
*この記事は本人の了承を得て書いています。
まず、桜井さんの強みを4つのカラーで分析しました。創造性が高く、変化に強い「黄色」のスコアが非常に高い、理想的な職種に就いているならマーケティング部門に所属していても不思議ではない人材です。一方で、成果重視の「赤」のスコアは、自分より上位に29%の人がいる程度で、特別に高いわけではありません。トップセールスになる人は「赤」のスコアが圧倒的に高い傾向があるため、桜井さんが営業職への適性に迷うのは納得できます。
この結果から、営業の仕事はこなせるが、トップパフォーマーになるのは難しいことが明確になりました。データを見た桜井さんも、この分析に納得した様子でした。
次に、マンダラを使って、桜井さんの生まれ持った特性を分析しました。強みとしては直感力と外向性が高く、細かい作業もある程度こなせます。しかし、規律重視・内向性・人間重視のスコアは低めでした。
桜井さんが成功しやすいのは、直感や創造性を活かせる仕事であるとわかります。また、成果重視のスコアがそれほど高くないため、売上ノルマに対して強くコミットし、何が何でも達成するタイプではないことも明らかになりました。ちなみに、成果重視の特性には「タフさ・主導力・競争心・論理的思考・目的意識の高さ」が含まれます。
さらに詳細な24のクオリティ分析を見ると、「メンタルの強さ」の指標が非常に低いことも判明しました。営業では顧客から厳しい言葉をかけられることが日常的にありますが、そのプレッシャーに耐えられず、精神的に落ち込むことが多い可能性があります。営業職で成功するには、この「メンタルのタフさ」が不足していると言えます。
桜井さんの「強み」が明確になったところで、最終決断の前に「好き・嫌い」を確認しました。人間は自分が好きなことであれば、努力を惜しまず、自然と追求し続けるものです。そこで、これまでの仕事や経験を振り返ってもらい、「楽しかった」「ワクワクした」と感じた場面を洗い出しました。すると、黄色の創造性に関わる活動に喜びを感じていたことがはっきりしました。
こうした分析を経て、桜井さんは販売促進の仕事に挑戦することを決断しました。営業の経験があるからこそ、現実的なプロモーション企画が思い浮かびやすく、さらに「ゼロから新しいアイデアを生み出すこと」が得意な桜井さんにとって、最適なフィールドといえます。営業職では売上ノルマや顧客対応のプレッシャーから逃れることが難しいため、思い切って新しい扉を開けることにしました。
人は「自分に合わない仕事」をしていると、漠然と違和感を覚えるものです。しかし、どの方向に進めばよいのか判断がつかないこともあります。そんな時こそ、適性診断を活用することで、早く解決できるかもしれません。ご自身の適性を知りたい方は、こちらをご覧ください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。