Global Career Guide
ゴールデンウィークが始まりました。今年は曜日の並びがあまり良いとは言えませんが、普段よりは時間が確保できる時期です。外資系企業への転職を検討している方にとって、この時間を活用して準備を進めることは非常に有意義です。本日は、転職を考え始めたときに、まず着手すべき準備についてお伝えします。
転職を考えた理由が「逃げ」になっていないかを、まず冷静に確認することが大切です。
逃げの転職ではないか
たとえば、上司との相性が悪い、職場の人間関係に不満があるといった、仕事内容そのものとは関係のない理由で転職を希望していないかを見直しましょう。現職で学びきっていない段階で転職を決断すると、同じ問題に再び直面する可能性があります。もちろん、精神的に限界を感じている場合は、無理せず環境を変えることが優先です。
現職を卒業しているか
現職で得るべき知識や経験を習得し、自分自身も会社にこれ以上貢献できないと感じたなら、それは「卒業」のタイミングです。この場合、迷わず次のステップに進むべきです。
転職を決意すると、すぐに次の職場を探したくなるものですが、まずはしっかりと準備を整えることが成功への近道です。
英文履歴書の整備
転職活動を開始する際、転職エージェントとの面談で必ず求められるのが英文履歴書です。日本語でのヒアリングで面談が進んだとしても、最終的には英文履歴書の提出が求められるケースがほとんどです。内容と見た目の両方を整えた英文履歴書を準備しておきましょう。作成方法については、過去のコラムでも詳しく紹介していますので、併せてご参照ください。
転職エージェントに相談する
多くのエージェントに相談するよりも、最初は5社程度に絞ることをおすすめします。同じ求人を複数のエージェントが扱っている場合も多く、コンタクト先が増えると仕事を抱えながらの時間管理が難しくなるためです。現職が忙しい中での転職活動では、効率的に情報を集められる体制を作ることが大切です。ただし、様子を見て進展がないと判断したら、15社くらいまで広げてください。
LinkedInで英語のプロフィールを作成する
外資系企業では、直接雇用(ダイレクト・リクルーティング)も始まっています。LinkedInに英語で整ったプロフィールを作成し、企業や転職エージェントが閲覧しても問題のない状態に整えましょう。アカウントを作成する際は表面的に仕上げるのではなく、じっくりと時間をかけて内容を精査してください。
信頼できる同業者に相談する
転職活動において口の堅い同業者に転職希望を伝え、良い案件があれば紹介してもらえるよう依頼するのも有効な方法です。相談相手は、できれば自分より高いポジションにいる方を選びましょう。より良い求人にアクセスできる可能性が高まります。
転職を考えたきっかけとなる動機を再確認し、現時点で何を最も重視するのかを明確にしておくことが重要です。
年収の向上、昇進、ワーク・ライフ・バランスの改善など、人によって求めるものは異なります。転職活動中には、選考が思うように進まないこともあります。そんなとき、自分の優先順位がはっきりしていないと、目の前のオファーに安易に飛びついてしまい、後悔する結果になりかねません。
具体例として、以前サポートした20代の候補者の話を紹介します。この方は、大手日系企業から外資系企業への転職を目指していました。当初は年収アップを目的にしていましたが、転職活動中にベンチャー企業のCEOのカリスマ性に魅了され、方向性に迷い始めました。再度ヒアリングと適性診断を行った結果、安定志向が強く、奨学金返済を抱えていることから、収入の安定が最優先であると判断。最終的にベンチャー企業への転職は見送り、当初の目的に沿った選択をしました。
転職に慣れている方であれば、仕事をしながらでも効率よく活動できるかもしれませんが、初めて転職をする方や転職経験が浅い方は、まずはしっかりと準備を整えてから動き出すことが、成功への近道です。いつもよりお休みが長い期間を有効に活用して、しっかり備えましょう。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。