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転職エージェントを見極める目を養う

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは、「転職エージェントを見極める目を養う」です。
ネット全盛時代、LinkedInを通じて企業がダイレクトに候補者へアプローチする機会も増えてはいます。そんな中でも、より多くの求人情報にリーチしたいと思ったら、転職エージェントの力を借りるのが効率的です。
どの会社が良いのか固有名詞が気になるかもしれませんが、転職エージェントは最終的には個人の力量次第です。コンサルティング・ファームと同じですね。長い間、企業人事として候補者を探す時にも、私自身の転職活動の際にも、転職エージェントの方々のお世話になりました。煮湯をぶっかけられた苦い経験もありますが、良い人間関係が続き、今では友人と言える人もいます。

転職エージェントには明確に2タイプいますのでご注意を。

タイプA : 自分に入るコミッションのことしか考えてない
あるIT企業の人事部長をしていた時、政治的にうまく立ち回りきれず、身の安全のために転職した方が良いかもと思ったことがありました。上司は米国のシリコンバレーにいるので、通常なら転職活動がバレることはまず無いはずなのですが、私が辞表を出した時、直属のボスは私が転職活動をしていたと知っていました。

なぜだと思いますか? なんと、転職エージェントの1人が、マーケットで私が転職活動をしていると聞き、私の後任サーチを手に入れようとシリコンバレーにいる私の上司に告げたのです。私のことを2回紹介することでコミッションを得ただけでなく、人事として優先ベンダーにして稼がせてもあげていたので、マナー違反どころか私の立場からすると、本当にどうかしています。

ここでの鍵は、「目先、自分に入ってくるコミッションのことしか考えていない」です。企業に求人があり、良さげな候補者がいたら、相性もよく考えず多少無理にでも「押し込む」こともやりかねません。候補者の話をよく聞かず、クロージングに誘導しようとするので注意が必要です。

自分の担当者がこのタイプだなと気づいたら、惑わされないことが大切です。「自分はどうしたいのかよく考える」「違和感を持っているのであれば、理由は必ずあるので冷静に分析する」など、最終判断を自分でしないと後で「しまった」と思っても手遅れです。

私の今までの経験では、この業界で長期的に働こうと思っていない、荒稼ぎを目的としている人にこのタイプが多いです。さりげない会話で、将来のキャリアのビジョンを聞いてみるのも見極める役に立ちます。

タイプB :  候補者との関係を長期的に考えられる
本当に優秀な転職エージェントは、前出のように候補者を痛い目に合わせたら、関係性が永遠に絶たれるとわかっていますし、口コミの怖さも分かっているので、えげつないことはしません。

無理矢理押し込んだ候補者が、企業とミスマッチを起こし試用期間中に辞めることになったら、コミッションが入ってこないだけでなく、自分の評判も落とすことになるとわかっています。目の前の1回限りのコミッションのために、企業と候補者双方の信用を失うことは、長期的に見ると自分にとって損なので、候補者が迷っている時に強く勧めるようなことはしません。

初めての転職の時は、自分の担当エージェントがどちらのタイプなのか見極めきれないことが多いので、とにかくクロージングに持っていこうとする人かどうかよく見てください。
この人なら大丈夫と思える転職エージェントに出会えたら、長期的にコンタクトを失わないように、会社の連絡先だけでなくSNSでも繋がっておくと、彼/彼女が転職した時にも関係を保てます。私の友人には転職するつもりはないけれど、1年に1回は懇意の転職エージェントに会い、自分の市場価値を確認している人が数人います。

転職活動で大きな役割を果たしてくれる転職エージェントの方々、どのような方なのかを冷静に見極めて、力を貸してもらいましょう。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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