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転職につきもののレファレンス : 頼む方・頼まれる方へ

元・外資系人事部長、現グローバル人財プロデューサーの鈴木美加子です。先日、元部下が転職するというのでレファレンスを頼まれ、ヘッドハンターと電話で話しました。今日はレファレンスをテーマにします。
 

まずレファレンスとは何かで、マネジャー以上の候補者がヘッドハンターを使って転職する際に発生するプロセスの一環です。過去の仕事ぶりを知っている人から、ヘッドハンターが当時の仕事ぶりについてのフィードバックを聞くというものです。100%電話で行われ、所要時間は15分くらいです。このプロセスがある場合、2名を選んでコンタクトがある旨を知らせておいて欲しいとリクエストされます。
 

内容は、まず、どのような関係だったか。ベストは昔の上司なのですが、前職が無かったり、上司と折り合いが悪くて頼めない場合は、同僚、他部署の方、付き合いの長い業者などになります。マネジャー以上のポジションに就くようになったら、自分の過去の仕事ぶりを評価してくれる人が、二人くらいはいないといけないということを覚えておいてください。私の場合は、彼にとっての元上司なのでそう答えました。
 

2番めに聞かれることは、どのくらいの期間仕事で一緒だったかです。あまり短い期間では、仕事ぶりを客観的に評価できないだろうという配慮から来ている質問だと思います。私の場合は、2001年から2005年と答えました。
 

3番めに聞かれることは、強みです。この項目をうまく答えてもらうには、JD(職務記述書)を先方に送るのがベストです。JDには、どのような人材が理想の候補者かが書いてあるので、本人の強みと照らし合わせて、その会社・ポジションで最も求められるであろうトップ3くらいを挙げて、具体的に伝えてもらえます。JDがないと、昔の仕事ぶりを思い浮かべて、記憶にある強みを伝えることになるので、必ずしも転職先が求めている資質が挙がっているか定かではないことになります。
 

4番めに聞かれることは、「ここは少し直したほうがいいかもしれないと思う点は何ですか?」もしくは「新しい職場で彼の上司になる方に、ここは気をつけてマネジメントしたほうがいいと思う点は何ですか?」です。ヘッドハンターも、知り合いに頼んでいるレファレンスなので、常識で考えれば悪いことが出るはずはないので、多少なりともリスクヘッジして、良いことばかりを伝える偏ったフィードバックにならないようにしたいわけです。
 

ここをどう扱うかは、その方によって違うと思いますが、私は致命的な欠点は挙げないようにしています。転職しようとしている方の機会を潰すようなことはしたくないからです。仕事ぶりに致命的なマイナスを与えないような無難なこと、例えば「頭の回転が早い人なので、少し早口かもしれません。相手によっては少しゆっくりしゃべってもいいかもしれません。」とか「相手の気持ちを汲める人なので、ストレートな物言いは苦手かもしれません」などと答えます。

後者の実態は、「曖昧な表現が多くて意図することが伝わりにくい」なのですが、このままでは外資では明らかな欠点になりますので、言葉を選びます。
 

レファレンスを頼む場合、自分に好意的であること、基本的にポジティブな方を選んだ方が無難です。頼まれた方は、相手が新しい機会をつかもうとしていることを鑑みて、マイナスにならないよう配慮してあげられるといいでしょう。
 

最後に、「何か言い足りないことはありませんか?」と聞かれます。大体の場合は、特に補足する必要は無いことが多いので、「特にありません」とお答えして無事に終了します。
 

履歴書に、Referenceとして最初から名前と電話番号を書いてある場合もありますが、お勧めできません。お世話になった方の個人情報をばらまくのは良いことでは無いので、Reference available upon request. と書くのが、個人情報に敏感な日本では無難かと思います。
 

今日は、転職時のレファレンスについてお話しました。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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