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転職につきもののレファレンス : 頼む方・頼まれる方へ

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。

今回はレファレンスをテーマにします。 一部の日本企業でも行われているようですが、外資への転職活動につきもののプロセスにレファレンスがあります。全員というよりは、マネージャー以上の候補者に該当します。

レファレンスのプロセス

レファレンスとはどのようなものかというと、転職エージェントが、候補者の過去の仕事ぶりを知っている方から、当時の仕事ぶりについてのフィードバックを聞くというものです。転職エージェント経由でない場合は先方の人事が行います。電話で行われ、所要時間は15分くらいです。メールだと咄嗟に思いついた追加の質問をその場で聞いて、相手の反応を見ることができないので、電話にするのでしょう。

このプロセスがある場合、レファレンスを頼める方2名を選んで、先方に未来の雇用主から連絡がある旨を知らせておいて欲しいとリクエストされます。

質問の内容は、まず、候補者とどういう関係だったか。ベストは昔の上司なのですが、前職が無かったり、上司と折り合いが悪くて頼めない場合は、同僚、他部署、付き合いの長い業者、クライアントでも大丈夫です。マネージャー以上のポジションに就くようになったら、自分の過去の仕事ぶりを評価してくれる人が、2人くらいは必要ということですね。

2番目に聞くことは、候補者と仕事で一緒だった期間です。短い間の仕事仲間の場合、仕事ぶりを客観的に評価できないかも知れないための確認です。

3番目に聞くことは、候補者の強みです。この項目をうまく答えてもらうには、JD(Job Description/職務記述書)をレファレンスを頼みたい方に送っておくのがベストです。JDには、どのような人材が理想の候補者かが書いてあるので、本人の強みと照らし合わせて、その会社・ポジションで最も求められそうなトップ3くらいを挙げて、具体的に伝えてもらえます。JDがないと、昔の仕事ぶりを思い浮かべて、記憶にある強みを伝えることになり、必ずしも転職先が求めている資質がカバーされていないことがあるかも知れません。

最後に必ず聞かれることは、「完璧な人は世の中にいないので、候補者のここは少し直したほうがいいかもしれない点は何ですか?」もしくは「新しい職場で彼の上司になる方に、気をつけて候補者をマネジメントしたほうがいい点を教えてください」です。転職エージェントも、知り合いに頼んでいるレファレンスで、普通は悪いことが出てくるはずはなく、良いことばかりを伝える偏ったフィードバックにならないようにしたいのだと思います。

レファレンスの最後に必ず聞かれる質問

この質問をどう扱うかは、その方によって違いますが、私個人は転職したい方の機会を潰すようなことはしたくないので、致命的な欠点は挙げないようにしています。仕事ぶりに致命的なマイナスを与えない無難なこと、例えば「頭の回転が早い人なので、少し早口かもしれません。相手によっては少しゆっくりしゃべってもいいかもしれません。」とか「相手の気持ちを汲める人なので、ストレートな物言いは苦手かもしれません」などと答えます。後者の実態は、「曖昧な表現が多くて意図することが伝わりにくい」なのですが、このままでは外資では明らかな欠点になりますので、言葉を選びます。

レファレンスを頼む場合、自分に好意的な人であること、基本的にポジティブで減点主義で無い方を選んだ方が無難です。

最後に、「何か言い足りないことはありませんか?」と聞かれます。大体の場合は、特に補足する必要は無いことが多いので、「特にありません」とお答えして無事に終了します。

なお、興信所を使っての身上調査は、プライバシー保護が厳しくなってから候補者に告げずに行うことはできなくなりました。今でも身上調査をしている企業は、必ず「これから外部の会社にレファレンスをとってもらいます。よろしいですね?」聞きます。「困ります」というと脛に傷があるように聞こえるので、「お願いします」と言うしかないようです。

レファレンスをお願いできる方を2名探してくださいと言われた場合、頼む予定の方がもし慣れておられなかったら、こんな質問をされるようですと前もってお伝えして、良いレファレンスを出してくださるお手伝いをしてください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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