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英語面接を勝ち抜く : 準備編

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

英語面接を控えていた3人と模擬面接をさせていただいて、気がついたことを今回のテーマにします。

1. 面接官が誰かを確認する

英語で面接を行うことに気を取られ、相手が誰になるのかを確認していないケースが多いので、ぜひ確認してください。 理由は、面接官の所属部署・役職によって、候補者に聞きたい内容のレベルが変わるからです。

a) 面接官が人事の場合

人事が応募先部署の専門的なことを質問することはできないので、確認したいのは人柄とコミュニケーション能力です。外資系では、社員に辞めていただくシステムはありますが、コミュニケーション力の著しい欠如などは微妙な理由なので、入社してから周りとの人間関係で摩擦が必ず起きるとわかっている人を、採用したくないのが人事の本音です。つまり、「それなりに感じが良い人」という印象を残すことが大事です。

b) 面接官が所属部署の上司の場合

面接官である上司が確認したいのは、候補者がどのぐらい即戦力になるかと言う肝心な点と、自分との相性もしくはチームの中でのバランスです。専門性については、一朝一夕に上げる事は無理ですが、求人票をよく読んで、特に必須項目からどんなことを聞かれそうか想定質問を考えることが有効です。上司になる方との面接では、入社してから後悔しないように、遠慮しすぎず確認したい事はどんどん質問したほうが良いです。

c) 面接官が役員、社長もしくは海外にいる場合

彼らは経営層なので、細かいことには興味がありません。例えば「強み・弱み」のような細かい事は、自分のところに進む前に確認は終わっているだろうと考えます。 重要なのはマクロでものを捉える力やビジョンがあるかどうかです。業界全体のマーケットの状況や志望先の会社の未来がどうなりそうかなど、視座を高くして想定質問を考えておくと、自分自身の物事の見方が広くなるので、彼らとの面接への準備になります。

2. アイコンタクト

現在はオンライン面接が主流で、画面上では自分の肩から上くらいが大きく映るため、表情などが目立つようになります。まずは、面接官とアイコンタクトが取れているように見せられるかどうかが大事です。PCの下にティッシュ箱などを入れて面接官の目の高さと合わせたつもりでも、残念ながら相手にはアイコンタクトが取れているように見えないので、カメラに向かって話しましょう。カメラに向かって話した経験がない方は、癖でスクリーンの中の面接官を見てしまうはずなので、事前に練習をしておくと良いです。アイコンタクトは英語でのコミュニケーションに慣れているかどうかを表す大きなサインなので、大事にしてください。

3. 想定問答について

面接官の質問をあらかじめ考えておくことは面接対策として有効です。ただ質問までキッチリ英文に落とすことは、必ずしもプラスになりません。相手が変化球を投げた時に、上手にバットを振れない可能性があるからです。模擬面接をしていると、用意したシナリオがカッチリあるかどうかはわかり、つい変化球を投げてみたくなるものです。すると、急に英語のレベルが落ちることが起こり、がっかりしてしまいますので、それぞれの質問に対しての自分の答えを見出しレベルで書き出し、そこから自由に話してみる練習をした方が実践的な事前準備になります。

もちろん、シナリオがないと不安な人はしっかり作っても良いですが、その通りには行かないと思ってください。万が一、途中で用意したシナリオが飛んでしまった場合は、「シナリオの中身を知っている人間は自分しかいない」という大事なことを思い出し、シナリオに固執するのをやめて、とにかく話し続けましょう。

4. 緊張しないために

自分にとって外国語である英語で面接を受けるのですから、緊張するのは当たり前です。時々単語やフレーズが思い浮かばないこともあるでしょう。その時に、ついつい天井を見上げがちですが、この動作もオンライン面接では非常に目立ちます。突然英語力が上がるわけではありません。外国語で面接を受ける練習をしているくらいのつもりで覚悟を決めて、緊張しすぎず、途中で詰まったり単語がわからなくなったりしてもできるだけポーカーフェイスでやり過ごしてください。こんなところにもストレス耐性が現れます。

面接、プレゼンの前に自分を落ち着かせる小さなお守りを持っていますか? 深呼吸をする人もいるでしょう、手の平に「の」という字を書いて口から呑む動作をする人もいるでしょう。私は、ここぞという時は、ジャンポール・ゴルチエの香水を一振りして “OK, it’s show time.”と言って出ていくのが習慣です。今回の面接だけでなく、大事な場面で自分を落ち着かせたり奮い立たせたりできる小さなお守りを持てると気持ちが楽になるので、探してみてください。

英語面接にも慣れがあるので、今回は練習くらいのつもりで、力まずベストを尽くしてください。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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