Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
私が主宰するグローバル人材養成塾・世人(せじん)塾は、前回のテーマがプレゼンテーション・スキルでした。
組み立て方、デリバリー、リハーサルの仕方などのコツを伝授して、「それでは、簡単なお題を出しますので、即興の英語プレゼンテーションをお願いします」と振った時、一番うまくできるのは誰だと思いますか?
クラスで一番英語力がある人? いいえ、違います(きっぱり)。
もちろん、あるレベル以上の英語力は無いと始まりませんが、一番うまくできるのは、完璧主義でない方です。
日本人に多い完璧主義は、残念ながら「即興」で何かをやる場合の阻害要因になります。「正しくないといけない」・「ちゃんとやらないといけない」を背負いながら、外国語である英語での即興プレゼンをうまくできるわけがありません。
完璧でなくてもいいやと、あっさり手放せる方が強いです。
それでは再び質問です。世人塾のクラスで前もって1分間プレゼンテーションをするとわかっていて、実際に一番うまくできるのは誰でしょうか?
クラスで一番英語力がある人? いいえ、再び違います(笑)
この状況でベストのプレゼンテーションができるのは、Dry Run(リハーサル)をきちっとしてある方です。
英語でのプレゼンテーションを「苦手です」と言いながら、リハーサルしない方の気持ちは理解できません。母国語じゃないのですよ、あがったら、頭が真っ白になって話が続かなくなりますよ。外国語でプレゼンしながら、アイコンタクトを取り、自然なジャスチャーを見せ、堂々と振る舞いなんて出来ますか?
私は性格的にプレゼンテーションが得意です。日本語で頼まれた時は、リハーサルしません。必要ないからです。でも帰国子女でない私にとって、英語は外国語なのでそうはいかないのです。TOEIC960点の英語力があることと、プレゼンテーション・スキルは別ものなのです。
人事部の責任者になりたてのころ、本社に呼ばれてプレゼンをする際は、ホテルのバスルームの鏡に向かってリハーサルをしていました。
自分の表情、ジェスチャーは、鏡に映さないと見えないですからね。
そこまで、するのか? そこまでします。
たった20分のプレゼンで、私の評価が上がりも下がりもするのが英語圏の文化なので、ベストを尽くす必要があったのです。
教育の過程で母国語でのプレゼンテーションさえ教えてもらっていない日本人が、そんなものは高校の時から授業でやっている人達に混じってやるのですから必死でした。
同僚でプレゼンテーションがうまい人からは、テクニックを盗ませていただきました。
例えば香港人のChan。スライドのフッターに、同僚の参加国の国旗が並んでいます。「あーやられた」と思いました(笑)。当時、その会社のミッションに「ダイバーシティ(多様性)を推進する」が入っていたのでそれを可視化したのですね。頭いい!
彼は自分の20分のプレゼンが終わる時、”19分53秒、Not bad” と言って終えました。あとで、「測ってたの?」と聞いたら、「そんなわけないじゃん、誰も測ってないから適当に言ったのさ。20分と言われて19分53秒なら、プロフェッショナルに聞こえるからね」と言われ、なるほどねとつくづく感心し、転職後、自分もそのテクを使わせてもらっていました(笑)
英語力とプレゼンテーション力は違うのです。外国語でのプレゼンテーションにおいてリハーサルは、本当に大切なのですよ。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。