Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。日本人と英語人が参加する研修で、全員がアイスブレークのために行った英語での自己紹介を観る機会がありました。本日のテーマは英語での自己紹介です。
英語で自己紹介をする場面はありますか? 事前に行うと聞かされずに、急に必要になるのが自己紹介ですね。例えば、前出の多様性あるメンバーの人間関係構築シーンなどもその一つです。私が拝見した日本人メンバーの自己紹介は、英語を正しく話すことに注意が言っていることがわかり、どの方も緊張されていて聞き手にそれが伝わりハラハラする内容でした。皆さん、英語力はそれなりにお持ちのようなのですが、あがりすぎているしスピーチの仕方が真面目すぎて、個性が伝わらず勿体ない結果でした。
効果的に自分を紹介するにはどうしたらよいでしょうか?
1.構成
名前や仕事、あれば海外経験で終わってしまう方が多いようですが、英語での自己紹介では趣味や家族のことを織り交ぜることが大切です。日本は、ホフステードの6次元異文化モデルのMAS(何がモチベーションを上げるかの切り口)のスコアが非常に高く、社会的な成功を尊ぶ傾向にあるので、どんな場面でも仕事のことばかりを話しがちです。世界には様々な国があり、仕事以外のことも重要と考える文化もあることを思い出してください。趣味は、同じ趣味を持つ人がいたらそれだけで盛り上がりますし、珍しい趣味だとそこをフックに人物を覚えてもらえるので、ぜひ話すことをお勧めします。
2.緊張しないようにする
外国語で自己紹介をしてくださいと急に言われたら、少しプレッシャーを感じるかもしれません。完璧主義に育つことが多い日本人なので、きちんと話さないといけないと自分に厳しくなってしまうかもしれません。肝心なことは、完璧を期すと緊張してかえって上手く行かないし、英語のネイティブ・スピーカーは、英語が外国語である私たちに100点を求めているわけがないことを思い出すことです。90点くらいを目指し、楽しげに自分を紹介して覚えてもらうことが重要です。
3.早口になりすぎない
初めて会った人達に自分を紹介するという場で、早口すぎるのはいただけません。聞き取れなくては、そもそも「紹介」したことになりません。日本人特有のアクセントがある英語でも、まだゆっくりなら聞き取れるでしょうが、スタッカートのように早口ではさすがのネイティブでも聞き取れないかもしれません。特に、外国人にとって難しい名前が早口では、覚えてもらえないのでここは意識してスローダウンしましょう。
4.自分の名前は覚えやすいか?
例えば、あなたの名前が「真鍋 健一郎」だとします。ファーストネームは、Kenichiro と4音節で外国人に覚えてもらえるとは思えません。こんな時、ニックネームを持っていると便利です。Kenが一番わかりやすく自然かもしれませんが、必ずしも「K」で始まらないといけないルールがあるわけではないので、自分はDavidという名前が好きだなと思えばそれでも構いません。中国人でグローバルに活躍している方々は、ほぼ100%英語名をお持ちですが、まずは名前を覚えてもらえなければ話にならないという、彼らの優れたビジネスセンスを物語っていると思います。
ちなみに鈴木美加子という日本では苗字も名前も固有名詞にならない私は、
外国人相手には、”My name is Mikako Suzuki. It is easy to remember. Micky Mouse and Suzuki Motorcycle.” と言って、自己紹介でもスピーチでも正式なプレゼンのオープニンでも笑いを取って、一回で覚えてもらっています。
5.アイコンタクト
もし緊張してしまったら、聴衆とアイコンタクトを取るのはなかなか難しいですが、英語のコミュニケーションでは必須です。せめて、天井を見上げてしまったり、ずっと床に視線を落とさないように気をつけましょう。
上記2でも、90点を目指しましょうとお伝えしましたが、自己紹介はあくまでアイスブレークのような位置付けにあります。素晴らしいスピーチにすることよりも、その方らしい内容で聞き手から笑いが洩れるよう、肩の力を抜くことに注力しましょう。その方が聴衆にも必ず覚えてもらえます。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。