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英語での会議で存在感を示す方法

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、“英語での会議で気後れすることなく存在感を現すにはどうしたら良いか”です。

誰にも最初の一歩があり、私の初めてのNY出張は情けない限りでした。日本法人でアメリカ人の駐在員に囲まれて、毎日英語を使って仕事をしていましたが、ニューヨーカーの早口英語にやられ、これがぜんぜん聞き取れない。モルガン・スタンレーのウォールストリートにある本社は、それはお金の匂いがする高級なオフィスで、気後れもしていました。

会議で大きめの会議室に入った時の私は、自信がなく、できれば会議に出ないで帰りたいような気分でした。「とりあえず聞いてればいいや」と外資系勤務とは思えないようなマインドで、端っこの方に座り、指されて発言することにならないように、うつむき加減で1時間をなんとかやり過ごしました。うつむいていたのは、MCと目があって指されたら困るからだったように思います。

ミーティングには、以前、日本法人の人事本部長で本社に戻ったジムもいて、私の様子を観ていたのでしょう。あとで彼のオフィスに呼ばれました。大勢の前で声をかけず個人対応してくれるところが、日本の文化に5年間触れていただけのことがあります。「Micky, なんであんな隅の方に座ったんだ。しかもずっと下を向いていて、あれではやる気があるようにも自信があるようにも見えないよ。もっと真ん中に座って、堂々としていなければアメリカの企業ではやっていけない」と言ってくれました。

そう、この時の私には、100を120にも見せることが必要な、外資でのアサーティブネスがまるで欠けていました。

会議で存在感があるように見せることは、外資で昇進したいのであれば必須です。ただ座っていたのでは会議に参加していることにならず、全く発言しないことが3回くらい続くと呼ばれなくなることもある企業文化なのです。

これらを踏まえ、具体的に何をすれば良いのかを説明します。

1.  座る位置に気をつける
コロナで全ての会議がオンラインなのであれば、スクリーンでの映り方が重要です。ずっと下を向いていないようにしましょう。やる気がない人と思われてしまいます。スマホをPCの左右どちらかに置いてチェックするのもお勧めできません。観察力がある人がスクリーンの向こう側にいたら、視線でスマホを見ているとわかります。どうしても見たいのであれば、スクリーンに立てかけるくらいの位置であれば、カメラに映りませんし、自分の視線も不自然になりません。

コロナが終息してリアルに会議を行うようになったら、目立つところに座る勇気を持ちましょう。もちろん、役職からあまり真ん中ではおかしい場合は配慮が必要です。50人が集まるようなミーティングなら、前の方に座りたいです。最後列に座るようなことはしないでください。アメリカ本社に行くと、自分をアピールしたい出世したい組が、社長や役員の真前に座る様子を目にし、「やっぱりPR度が違う」と感じます。

2. 発言する勇気と英語力が足りない場合
「英語での会議は発言する必要がある」と言うのは簡単ですが、最初のころ実際に実行するのはドキドキして勇気が要ります。そんな時にどう切り抜けるかの小技を3つ挙げてみます。

a) 会議の冒頭で発言してしまう
誰かが意見を言う前に、自分の意見を言ってしまうのです。例えば、”Well, I doubt we can introduce Plan A without buy-ins from Sales Division.” (営業の同意なしに、A企画を導入するのは難しいと思います。) 意見に賛成の人も反対の人もいて、議論になったらあとは静観して自分は関わらないというやり方です。正確には英語力と勇気の関係で関われないなのかもしれませんが、ちゃんと発言はしたとカウントしてもらえます。

b) 良い意見を言っている人に乗っかる
誰かが自分と同じ意見を述べたら、”I agree.” と即座に同意してノルマの発言を二言でクリアするという小技です。みんなの前で英語をone sentence話すことに抵抗があるようだったら、この方法は心理的負担が低いので使いやすいです。

c) 気の利いた質問を考える
会議の最中に発言しなくても、最後のQ&Aのパートで「良い質問」ができれば十分ミーティングに貢献したと思ってもらえます。私は、アメリカ本社とのビデオ会議が始まった頃、ミーティングの間中、「何を質問するか?」をずっと考えていた時期があります。ネイティブの早口英語を聞くのに必死で、あの当時の私の英語力で発言するのは厳しかったからです。だんだん慣れるし、ネイティブのような英語を話すことは帰国子女でもない私に求められていないと、きちんと自覚して発言できるようになりました。

慣れるまで、ネイティブ相手の会議で気後れすることは多いですが、なんとか乗り切るテクニックはありますし、慣れると発言できるようになるので頑張ってください。応援しています。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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