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英語が聞き取れない時どうするか?

元・外資系人事部長、現グローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。


昨日、日本語が初級レベルの外国人に、日本語で面接する練習を大勢で行いました。ゆっくり日本語を話す練習をしているうちに、全員の日本語がおかしくなり、やさしい日本語を話すことの難しさを感じました。最終的に外国人は、わからないなら「わからない」と言ってくれるから楽です。


立場が逆になった時、つまり英語ネイティブと会話をしている時の私たちはどうでしょうか? 「わからないので、もう一度言ってください」と言えるでしょうか?

私はGE勤務だった24歳の時、初めてNYに出張して散々な目に会いました。私が知らなかったのは、

a) アメリカの東海岸(NY、ボストン)は、早口であること

b) 日本で仕事をしている英語ネイティブの駐在員は、早口で話すと日本人が理解できないので、駐在の期間が長ければ長いほど英語が自然にゆっくりになること
の2点でした。
つまり、東京で毎日英語を使って仕事をしていたのに、NYで会議に参加した途端、肝心なところが聞き取れないという状態に陥ったわけで、とにかくショックでした。


そして当時の私の問題は、”Can you say it once again?  I didn`t get it. “(もう一回言ってもらえますか? 聞き取れませんでした)と1度も言わなかったことです。恥ずかしいと思ったのかプライドが邪魔をしたのか、わかっているふりをして、「とりあえず黙って聞いていればいいや」と座っていました。


すると、何が起こったか。最後に、”What do you think, Micky?”と質問されて、しどろもどろになり、穴があったら入りたいような思いをしました。その夜ホテルで泣いたことを思い出します。


上記のケースは日本人に多いと思いますが、問題点が二つあります。

1. わからないなら、わからないと言う


YES/NOをはっきり言わないように育つ日本人、なかなか「わからない」と言えません。文化的にも「恥」の感覚を持つので、わからないことは恥ずかしいと無意識に思い込んでいます。英語圏の文化は、YES/NOがはっきりしていてアサーティブである事が重要です。「恥」の感覚より「フェア」かどうかが重要なので、わからなければ質問するなど努力してわかるようになれば良いのです。


モルガン・スタンレー勤務時代、NY本社のチームと日本法人の人事4名で電話会議をしたことがあります。本社のメンバーはまだ海外と仕事をすることに慣れていなかったのか、とにかく東海岸の早口でまくしたてて、日本チームは眉間に皺が寄せながら必死で聞いていました。その時、当時の人事部長だったJimが、
”Can you speak a bit slowly?  Not for me.” (もう少しゆっくり話してくれる? 僕は大丈夫だけど)
と言ってくれました。


この “Not for me.” は使えます。本社と会議をしていて、こちら側が複数人いる場合、英語がよく聞き取れなかったら同じように言えばいいのです。

2. 会議には参加しなければ意味がない


こちらも日本人には少しハードルが高いです。出る杭は打たれる文化ですし、人前で積極的に意見を述べるように教育されていません。英語圏の文化は、自分の意見を持つことを良しとし、それを明確に人前で話せることが重要です。英語での会議を無難にやり過ごそうと、ただ座っている人は会議に参加していると見なされません。数回続くと、「仕事ができない」とのレッテルを貼られたり、最悪の場合は会議に呼ばれなくなります。


英語力に自信がない場合、なかなか発言できない気持ちは痛いほどよくわかります。その時は、気の利いた質問をすることで乗り切りましょう。質問することも、会議に参加しているとカウントされます。100%は聞き取れなくても英語での会議の行方を聞きながら、「何を質問しよう」と考えるのです。英語圏での会議には必ず質問タイムがあるので、その時に切れる質問ができれば、立派な会議の参加者です。英語力が上がっていくにつれ、発言もできるようになるので、それまでは鋭い質問をすることで株を上げましょう。


ネイティブの英語がわからなかったら、「もう一度言ってください」と伝えられるようになりましょう。外国語を学ぶ過程で、わからないのは当然です。英語圏に「わからないことが恥ずかしい」という概念はありません。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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