Global Career Guide

キービジュアル キービジュアル

短くなっていく英文履歴書の長さ

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回のテーマは英文履歴書の長さについてです。

拙著「やっぱり外資系!がいい人の必勝転職AtoZ」を2019年に出版した際、適正な英文履歴書の長さは基本2ページ、20年以上キャリアがある方で3ページと書きました。2021年はまだそれで大丈夫ですが、GAFAを除く全ての企業で、「英文履歴書は2ページ以内」を求められる日が来るような気がします。

YouTube動画でも20分もあると、よほど面白くない限り離脱されるか、Z世代が倍速で再生する「もっと早く」「時間を無駄にしたくない」昨今、大量の英文履歴書をスクリーニングする際も、長い英文履歴書は敬遠される傾向が強まっています。

英文履歴書を短くまとめるメリット

ちなみにGAFAは1ページがスタンダードです。慣れるまで「新卒でない人の経歴をどうやって1ページに収めるのだろう?」と抵抗ありましたが、数人の履歴書を拝見しているうちに、1ページにまとめるメリットを理解しました。「求人の必須条件を満たしているか、すぐわかる」のが採用側のメリットです。今のGAFAは候補者が殺到してよりどりみどり状態。長い英文履歴書をスクリーニングするのは大変な労力ですが、1ページだと実績がはっきりして書類選考を通すべきどうか、良くも悪くも一瞥でわかってしまいます。

同じ論理が全ての会社にも通用します。長さは1ページでなくて良いですが、応募先求人の必須条件を網羅しているか、求人に合わせて微調整した英文履歴書を用意してください。経歴を棚卸しして、一般的などこにでも提出できる英文履歴書を作成すると、ほとんどの方が安心してそのままの状態で提出します。これは得策ではありませんし、英文履歴書が長くなりがちです。

候補者ができる履歴書の工夫

上記の作業をしていると、自然と英文履歴書は短くなります。このポジションに不要と思える箇所を削除、もしくは短く1行で表すようになるからです。採用担当の目に留まりやすいように、候補者ができる工夫はぜひしたいです。 自分がこれまで歩いてきた道が職歴なので、膨らませたり短くしたりメリハリをつけることには勇気がいるかもしれません。もともと採用する側は、直近10年を重要視して新卒時代の経歴をよく読むことはしません。(一度も転職されていない方は例外です。) 外資系は即戦力を求めているので、そんな昔のことはともかく、「最近はどこで何をしてきたのか」が関心事です。記述が1行で構わないのは新卒時代についてです。現職とその前の記述が薄いのはアピール力が足りない英文履歴書になります。たまたま直近の2社ともに社歴が短い場合でも、なんとか実績を捻り出して欲しいです。

私がこれまでに受け取った英文履歴書の最長は16ページです。企業人事時代で、私はその履歴書を読まずに書類選考を通しませんでした。「まとめる力がない」「相手の立場(この場合は履歴書を読む側)を想像する力が無さすぎる」が理由です。次に長かったのは9ページの方。英文履歴書の添削をお仕事で頼まれたので、もちろん読みましたが3ページにする作業が大変でした。3回くらい読まないと、どの職務記述が重要なのかが理解できなかったからです。

さすがに9ページの英文履歴書を提出する方はおられないと思いますが、3ページが読む側の限界ですので、それ以上にならないように注意してください。採用する側は、候補者のライフストーリーに興味はありません。ひとえに、求人の必須項目をどのくらい満しているか、即戦力ある候補者なのかが知りたいのです。今回の求人と関係ない箇所は、サクサク削除する勇気と判断力が求められます。

現在、企業が候補者に求めらる英文履歴書の長さはスタンダード2ページ、どんなに長くても3ページですが、いずれ2ページになる日が来るでしょう。GAFAは現在すでに1ページです。作成した英文歴書を客観的によく眺めて、求人ポジションの必須項目を満たしているかどうか確認して提出することをお勧めします。

Twitter

Twitterでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki  良かったらフォローしてください。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

カテゴリー一覧