Global Career Guide

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模擬面接の現場から感じたこと

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
先週、最終面接で落ちることが続いている転職活動中の方と、日本語での模擬面接を行いました。その時の様子をシェアしたいと思います。

模擬面接とは、20分の模擬面接をして10分ほどフィードバックし、全く違うセットの質問をする模擬面接を20分もう一回してフィードバックするという形式です。

最初の3分くらいで、「この方、ご自分に自信がないのかな?」と感じました。第一印象は良いのですが、面接官である私を真正面から見てアイコンタクトを取ることができないからです。少し顔が横にずれてしまい正面から見ていない感じがしたり、真正面から見てらっしゃる時は目が上目使いです。なんとなく「弱い感じ」「自信がない感じ」を相手に与えます。フィードバックの時に伺ってみたら、「自分がこれまで積み重ねてきたキャリアには自信があるのですが、なんだか自分に自信が持てないんです」とおっしゃっていました。

残念ながらこれでは、面接は通りません。彼女が受けているのは外資なので、それなりにPR力がある人材が求められるはずなので、それこそ「ハッタリ力」を駆使して、嘘はつかないけれど自分を大きく見せる必要があります。それができないと、同じレベルの経歴の候補者が他にいたらそちらに決まってしまいます。相手との対峙の仕方は癖だと思うので、「面接に行くまでに、鏡の中に写っている自分に話しかける訓練をしてください」とお願いしました。

他には、求められている人物像の把握が足りないと感じました。応募したポジションの職務記述書をよく読めば、求人を出している企業が「何」を求めているかがわかります。このケースでは、5人の部下持ちのポジションなので、マネジメント力です。職務記述書に2回出てきます。

ご本人の履歴書をよく拝見すると、現職ではたぶん部下がいらっしゃらない、その前はいらしたという流れです。「よく拝見すると」のところが肝でもあるのですが、部下の人数とかは前の方に出さないと見落とされる可能性が高いです。面接官が、提出した履歴書を隅から隅まで読んでくれると思ったら、残念ながら大間違いで、時間がなかったり大量の履歴書を読まないといけなかったりで、各勤務先の下の上半分くらいしか読んでないことも多々あるので、大事な情報は前に持ってくるように気をつけてください。

模擬面接に戻ると、マネジメント経験を聞かれた時のハンドリングに改善の余地ありでした。現職では確かに公には部下はいませんが、プロジェクトで指導している若い世代が数人いるので、そこを前面に出した方が良いです。また、前職では公式に部下がいらしたのですから、なるべく早めにそちらに話を移してマネジメント経験があると面接官に思わせるように持って行った方がうまく行きます。面接の舵取りを完全に面接官に任せてしまうと、時に自分に不利になりますので失礼のない程度に自分をアピールする場に変えることは大切です。

もう一つ大切なことは、アチーブメントを具体的に話すことです。彼女の場合、相当経験はあるので、面接官がうまく聞き出せばそれがわかるはずです。ただし表面的に彼女の答えだけを聞いていると「具体的なプロジェクト名、業者名、数字などが出てこないので、あまり経験があるように聞こえない」です。非常に勿体無いですね。どのような職種でも、具体的に答えることは大切なのでどうかお気をつけください。

自分が何を話したいかではなく、求人ポジションの職務記述書をよく読んで、「何」が求められているのかを正確に客観的に把握してください。ご自分の履歴書とにGAPがある場合は、そこをつかれますのでどう答えるのかをよく考えてから、面接に行ってください。戦略もなく場当たり的に出かけても、候補者は他にもいるはずなのでうまくはいきません。

メインのビジネスにするつもりがないのでほとんど宣伝していませんが(笑)、日本語での模擬面接、英語での模擬面接を必要とされている方とマンツーマンで行っています。至急のニーズがある方は、こちらに詳細が出ています。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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