Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、忙しいビジネスパーソンに最後まで読んでもらえる英文メール作成のコツです。
1. 上司が毎日読んでいるメールの数
皆さんの上司が、一日に何通のメールを読んでいるのかを推測してみてください。
私はシリコンバレー本社のIT企業に勤めていた時、グローバル人事のトップ(以下Kさん)にレポートしていました。1日200通くらいかなと思っていたのですが、本社に出張した時にKさんの秘書の方に聞いたところ、350通とのことでした。秘書の方とメールを共有して返信が必要なもの、重要な情報が載っているメールを見落とさないように、リスクヘッジしていることもその時知りました。
1通ずつ丁寧に読む時間がないとわかっている時、読んでもらう工夫が部下の方に必要です。
2. 件名のつけ方
◆ 外国人が読んですぐわかる、短めの件名をつけたいです。
長いとPCで読んでいてもクリックしないと、件名が全て読めないからです。
◆【Important: XXXX】【URGENT: XXXX】【Due March 1 : XXXX】【Reply needed : XXXX】
「重要・至急・いつまでに回答ください・返信必要です」などを冒頭につけることもよくあります。ここで気をつけたいのは、重要と至急を使い過ぎないことですね。オオカミ少年と同じで、「また至急か」と思われ読んでもらえなくなってしまいます。
元・部下でほとんどのメールの件名に「URGENT」とついている人がいました。私は慣れっこになって、優先的に読む習慣をなくし本当にURGENTの時にも、すぐには読みませんでした。後で「URGENTと書いてあるのに、どうして読んでくれなかったのですか?」と言われましたが、残念ながらそのメールが至急だと思えなかったのです。
◆ タイトルの中に、日本人の名前を入れない
Guillaume Archambault。フランス人の名前ですが読んで記憶できますか? 私はそもそも読めないし、とても覚えられないです。外国人に日本人の特に長い名前を英文メールのタイトルで伝えることは、意味を持たないことになります。”Mental issue; TI’s Engineer”のように、タイトルに名前を入れない方が要件は伝わりやすいです。
3. 最初の17単語が大事
スマホでメールやメッセージを確認することが多い昨今、メールのプレビューは最初の17単語が見える設定になっているそうです。17文字ではなく17単語です。いきなり本題に入ることに抵抗があるタイプは冒頭で挨拶をしがちですが、長すぎるとプレビューに要件が何も映らないことになります。最初の17単語にあまり重要でないことを、書き過ぎないようにするのがスマホ時代の工夫です。
4. 内容について頭出しする
報告なのか、参考までなのか、アドバイスが欲しいのかなど、何のためにメールを書いているのかを最初に書くと、相手は読むべき緊急度も判断できるので助かり、こちらは仕事ができる人になります。
例えば、
This email is to report the current status of project X.
(このメールは、プロジェクトXについての現状報告です)
I’m writing this email to ask your opinion.
(ご意見を伺いたくてメールしています)
5. 結論ファースト
英語は結論を先に、ロジカルに理由や根拠を説明する言語なので、最後まで読まないと結論がわからない英文を書いてしまうと、相手はおそらく離脱して最後まで読んでくれないことになりがちです。
6. 内容の詳細
慣れないと自分が知らせたいことを書いてしまい、先方からみると詳細が多すぎる メールになりがちです。みなさんより一つ役職が上の上司が「知るべきこと」は何だろうと考えながら、枝葉を落とし肝心なことを伝える癖をつけてください。詳細は聞かれたら答えれば良いので、メールでは大枠を書いて「何が問題なのか」「どう解決すべきなのか」などがすぐ相手にわかるようにするのがコツです。
7. CCについて
非常に忙しい人は、自分が宛名欄にない「ご参考まで」のccメールはほとんど読んでないです。本当に大事なら自分宛にメールが来るだろうと解釈しているのでしょう。メールを送ってあるから相手は理解してくれている、は危険です。大事なことは1:1(1対1のミーティング)で持ち出して、相手が認識できているかを確認したいです。
日本人ほどきちんとメールを読まない外国人はとても多いので、読んでもらえる工夫が大切です。本日は最後まで読んでもらえる英文メール作成のコツを解説しました。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。