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日本人に足りないアサーティブネス

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

オーストラリアで3週間を過ごし、現地で仕事もして戻ってきました。何度も必要性を感じた「アサーティブネス」を今日のテーマにしたいと思います。

先週、オーストラリアのゴールドコーストにおりまして、あるカフェで小学校の先生だというカップルとコーヒーを飲みながら話していました。彼女の方は8歳の子どもを教えているそうなのですが、日本人の女の子について思うところがあるとのことなのです。

担任のクラスには20名くらいの子供がいて、4名くらいのグループに分かれて勉強するのですが、グループの中で一番頭が良いと思われる日本人の女の子が、グループが出した答えが違うとわかっていても「違うんじゃない」と言わないで、グループの言わばコンセンサスに従っているそうです。

男の子にはその傾向はないから、日本では女の子は大人しくしていないといけないの?と聞かれました。「あーそんな年齢から、社会が求める女性像に自分を合わせようとしているんだ」と改めて気がつきました。私自身が、非常に活発な子供だったのを、親が女の子だからと心配して、一時期とても静かになったことがあったので、先生が言いたいことの意味はわかる気がしました。

日本企業でルミナというアセスメント・ツールを用いて、管理職研修を行うと、女性マネジャーが、内在(本来の自分)とストレス下(自分の素が出ることが多い)では「競争心」「タフさ」の数字が非常に高いのに、日常(社会人にとっては職場)では、この数字が異常に低くなるのを目撃してきました。実際にお目にかかって、研修中に様子を拝見していると、本来そんなにおとなしい性格ではないとわかります。職場に求められている女性像を演じているのでしょうね。

社会に求められる理想像に縛られるのは女性だけかというと、そんなことはないと思います。集団主義をよしとする、勤勉をよしとする、人前で自分の意見を言わないことをよしとする中で育ち、男女ともに社会が求める理想像に近づこうとするのではないでしょうか。特に、自分の意見をいうことをよしとしない社会で育つことは、成人して突然、英語人とやりとりするときはアサーティブになれと言われてもできないという現象を引き起こします。

英語人相手になぜアサーティブである必要があるかというと、相手にあなたが「何をしたいのか」が伝わらないからです。察するというアンテナは無いので、きちんと言って伝えてあげるのが親切ということになります。

私がNOを言えるようになり、アサーティブでいいんだと思ったのには、きっかけがあります。6年前メルボルンで友人と美術館に行った時、膝を折ってカメラを構えた彼女が「ミッキー、その絵の前で写真撮る?」と言ってくれました。振り返ると全く好みでない絵がかかっています(笑)。私は”No, thank you. I don`t like this picture”と言いました。言った後で、「せっかくカメラを構えるところまでしてくれたのに、悪かったかな」と日本人的なお気づかいの気持ちが生まれて、彼女の様子を見たのですが、なんということはなく「好きでもない絵と一緒に写真を撮ってもしょうがないわよね」と、全く気にしていないのがわかりました。

NOは言ってもいいし、自分の意志をはっきり伝えていいんだと腑に落ちた瞬間でした。

人前で意見を言わないように育つ日本人が、英語人相手に自分の意見を言うのにはかなりの努力がいるかもしれません。おとなしいタイプの方ならなおのことです。でも、伝えないと意見の無い人だと思われるかもしれないし、最悪は能力が足りないという評価にもなってしまいます。アサーティブネスを意識するようにしてください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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