Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
グローバル人材になるための大切な要素の一つは「多様性」を受け入れる力です。
頭ではわかっていても、日本人ばかりの環境だとついつい忘れがちなので、今日は「多様性を受け入れる」についてお話します。
世人(せじん)塾のエッセンスを2時間に凝縮したオープン・セミナーでの出来事です。最初にアイスブレークのエクササイズをするのですが、皆さんもちょっと考えてみてください。英語でなくて大丈夫ですよ(笑)
「あなたを動物に例えると何になりますか? それはどうしてですか? 一つ注意していただきたいのですが、参加者は全員日本人ではなく、日本語はできるけれどネイティブではないという外国人もいるというのが前提です。」
さて、皆さんはどんな動物を選び、選んだ理由は何でしょうか?
ここで重要なのは、クラスメートに外国人がいるということを意識できたかどうかです。先週のセミナーは参加者に韓国人の方がいらして、クラスは文字通り多様でした。ある方が「私を動物に例えると黒ひょうです。動物占いによると…」と話し始められた時、私は心の中で残念賞を出しながら聞いていました。
なぜかお分かりになりますか? 動物占いは世界共通でしょうか? 恐らくNOですよね。案の定、彼女が話し終わった時、私は韓国人の彼に「動物占いを知っていますか?」と聞いてみました。「知りません」という答えが返ってきました。
この原稿を書きながら「動物占いってだいぶ前に流行った気がするけれど、若い世代の日本人知ってるのかな」と思い調べてみました。流行したのは2000年くらいだそうです。あの日の参加者には20代の日本人がいらしたので、彼女にも通じなかったでしょう。
多様性とは「人種・性別・年齢・宗教など異なる環境要因がもたらす違い」です。多様性を許容するためには、他の国出身だと理解できなかったり、世代が違うとわからないことを、「グローバル人材のためのコミュニケーション講座」と銘打っている場で話さないことを意味します。
先ほどの動物のエクササイズに関して言えば、「怠け者」と口にする前に「怠け者ってどこの国にもいたっけ?」と考えられるかどうかが重要ポイントなのです。日本企業で日本人だけでお仕事をされている方、この感覚が薄いように感じるのでぜひ気をつけてください。
プロファイルが似た人達だけで仕事をしていると、「多様性」を意識できなくなるのは海外も同じです。
昔、本社がNYにあるモルガン・スタンレーから、本社が中西部オハイオ州にある某メーカーに転職した時のことをお話します。Diversityのプロジェクトが本社で立ち上がり、私はアジア・パシフィックからの参加者の一人で、数人がヨーロッパから参加していました。
アメリカ国内から参加しているメンバーの中に明るくて、リーダー的な男性がいました。オハイオ州で生まれ育ち海外経験の全く無い方でした。とってもいい人なのですが、彼のジョークには参りました。バスケットが大好きで、たぶんアメリカでは知らない人はいないんだろうなと思う選手に関するジョークがやたらと多いのです。日本人女性の私は、そもそもスポーツに関心がなく、バスケットのルールもよくわかっていないし、何よりネタになっている選手が誰なのか全くわからないので、何がおかしいのか理解できませんでした。見渡すと彼のバスケットねたで大笑いしているのは、アメリカ人参加者だけで、アジア・パシフィックやヨーロッパからの参加者は誰もわからなくて、笑えないで俯いている状態でした。世界は広く、バスケットが盛んな国ばかりでは無いですからね。ミーティングの最後の方で、海外参加者から「彼、Diversityプロジェクトのメンバーとして相応しくないんじゃない」という声さえ聞かれました。
「スポーツ、TVドラマ、宗教の話を外国人相手にしない」と、グローバルに活躍されている先輩から伺ったことがありますが、「御意」と心から思います。国・性別・年齢・宗教が違うメンバーが集まる場での発言には、その方が真のグローバル人材かどうかが反映されますので、強く意識して臨んでください。
「多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できるグローバル人材」は他にどんなことに気をつけたらよいのでしょうか? ご興味がある方は世人塾のオープン・セミナーにご参加ください。詳しくは http://atglobe.jp/lp
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。