Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回のテーマは外資系で求められるスキルです。最も重要と思われる5つについて解説します。
外資系に勤めるという事は、イコール外国籍の同僚がいることを意味します。それぞれに育った文化が違うため、仕事のやり方・価値観が違い衝突の種になりがちです。日本流が唯一無二だと誤解して相手に押し付けても、異なる文化で育った人達に全く通用しない事が多いのです。ここで大事なのは多様性を受け入れ、異なる意見は仕事の質を高めてくれると考えられる柔軟性です。
日本人の癖で気軽に年齢を聞いたり、結婚しているかを尋ねたりしてしまうこともありますが、マナー違反に当たるので気をつけましょう。時間の観念が緩い国民が多いので、相手が日本人の時よりも締め切りを前倒しにして余裕を持たせるなど工夫して、双方のストレスが高くならないようにするなど多様性と協働する知恵を上司や同僚から集めましょう。
アサーティブネスとは、相手の立場にかかわらず尊敬する心を失わずに、自分の意見・主張を上手に伝えられるコミニケーションスキルです。公の場で意見を言わないように育つ日本人が、最も苦手なスキルといえます。
外資系においては、ミーティングに参加したら何かしらの意見を言う必要があり、黙っている人はそこに存在しないと思われがちです。少しずつ自分の意見を言う勇気を持ちたいです。
24歳で初めてニューヨークのオフィスに出張した時、東海岸の英語の速さとアメリカ人のアサーティブさに圧倒され一言も発しないでいたら、会議の最後の方には、まるでそこに存在しないかのような扱いを受けた苦い思い出があります。慣れずに口を挟めなかったら、誰かが良い意見を述べたときに”I agree.”と発するだけで参加したと見なしてもらえます。外資系初心者は試してみてください。
外資系企業の公用語は英語であることが多いです。英語は結論を先に話すロジカルな言語です。
日本語と英語は、話す順番が違います。
英語: 結論→それを支える理由・根拠3つ程度→結論
日本語:状況・理由などの説明→結論
英語で日本語の順番で話してしまうと、相手に途中で「What is your conclusion?」とさえぎられますので、最初に結論を言うことが重要です。私も初めてアメリカ人が上司になった時、日本語の順番で英語を話していたらしく「Micky, so what? What is your conclusion?”とイライラされてしまいました。
このままではいけないと、周囲のネイティブ・スピーカーや帰国子女の真似をして、今ではロジカルに話すと評価されるようになれたので、努力と練習次第で間違いなく後から伸ばすことができるスキルです。「最初から詳細を話さない、結論を先に」を心に留めてコミュニケーションしましょう。
外資系企業は業界によって多少違いますが、よく考えてから慎重に行動を起こすというよりは、走りながら考えて方向を修正する傾向があります。端的に言うと、方針変更が、日本企業より頻繁に起こります。
変化についていけないと仕事ができない人になりますので、前例のないことに挑戦すること・リスクを取れることは重要です。想定外の事柄に対応する事は得意ですか?もしあまり得意ではないと思ったら、もしかしたら外資系の転職は向いていないかもしれません。
あまり得意ではないけれど、やっぱり外資系で仕事をしたい人は、決まった方法・ルートからあえて外れる練習をするのが良さそうです。例えば、日々の小さなことですが、ランチのメニューを周りに合わせて”僕も同じ”と言わないとか、駅からのルートをたまには変えてみるなどです。想定外対応力は、外資では必須なので柔軟性のチェックを十分してください。
外資系と言うと、必要なのはまず語学力と誤解されがちですが、経験・スキルあってこその英語力です。業界やポジションによって求められる英語力は変わるので、必要なレベルを確認して、最低限を満たせるよう努力してください。
英語がペラペラでないと外資系を受験できないわけではありません。どの部署でもジュニアポジションでは、上司が外国人でなければ、それほど堪能でなくても入社してからの努力で上達できます。外資に挑戦するマインドを英語のためだけに捨てないでください。
外資の日本法人を受けるにあたって評価される英語のテストは、やはりTOEICです。英検は1級と準1級との間にギャップがあって、準1級の人の英語力は見えにくいです。TOEFLは、採用担当者に留学・海外在住経験があればピンときますが、そうでない場合は、スコアを見ても英語力の見極めがつきにくいです。TOEICを受験してスコアを取るか、TOEICに換算した時のおおよそのスコアがサイトに載っていますので、カッコ書きで添えると親切です。
外資系で求められる重要なスキルは、多様性と協働できる・アサーティブ・ロジカル思考・想定外対応力・英語力になります。幾つすでに持っているか確認し、足りないところを補強して外資で活躍できるグローバル人材を目指してください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。