Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。外資系人事での経験、個人の方々とのキャリア相談を通して、外資系で成功する人の共通点について考えることが最近多く、「外資系で成功する7つの要素」を本日のテーマにします。
外資系は成果主義です。会社に対してどのくらい貢献できるのかがはっきりしていてこそ、高い給与が支払われる仕組みです。様々な分野の仕事が少しずつできるジェネラリストは、この仕組みにおいては残念ながらあまり価値がありません。
外資では、ある分野のスペシャリストで、いざとなれば自分も腕まくりをして部下の先頭に立てるだけの知識・経験がある人がリーダーに任命されます。外資系市場においては、確固たる専門性があることが何より大切なのです。
相手の立場に関係なく、ほどよく自分の意見、YES/NOを伝えることができる力です。外資系には自己主張が強い人材が集まりますので、特に外国人の比率が高い職場の場合、大人しい人は意見がない人間だとレッテルを貼られがちで、低く評価されるリスクもあります。
どちらかと言うと内向的または控えめで、自分の主張を打ち出すことが難しい人は、例えば簡単な日常の中で、「私も同じでいい」ではなく「私は○○がいい」と言う練習をすることをお勧めします。いきなり英語の会議で、自分の主張を述べるのはかなりハードルが高いですが、ビジネスに関係ないことを日本語で話すことは気持ち次第で可能だからです。延長線上でいつか英語でも自分の意見を言えるようになれます。
ホフステード6次元異文化モデルの文化の切り口に、「不確実性回避」があります。つまりは「石橋を叩きたい」文化であるかどうかを測る指標です。ご想像通り日本は、不確実性回避92 (0から100で数字が大きいほど度合いも高い)で、石橋を大いに叩きたい文化です。
この数字はアメリカが46、イギリスが35、中国が30です。「とりあえずやってみよう」の傾向が高い彼らと仕事をすると、急に方向が変わったり、実はグローバル展開の前に熟考されておらず事態が大きく変わることが頻繁に起こり得ます。その度に大きなストレスを感じていると、目の前の船を急旋回させることができず、長期的に見て機能しないことになります。
前もって準備をしておきたいタイプ、現場でアドリブを効かせるのがあまり得意でない人は、そもそも外資系には向いてないです。
外資勤務というと、まず必要なのは英語力なのではと思う人もいるでしょう。確かに、「たかが語学されど語学」の側面もあり、全くできなくては困りますが、英語はあくまでもコミュニケーションのツールでしかありません。
外資系の日本法人に勤務したい場合、応募するポジションに求められる英語力をしっかり確認することが重要です。必要な英語力のレベルが役職の上下で決まった時代は終わり、今は実際にどのくらい海外とやり取りをするかが肝心です。「外資系」なのに入社したらあまり英語を使わなかった、または逆に求められる英語力が高すぎて困ったという話はよく聞きます。面接の段階でしっかり確認しましょう。
日本企業でのプレゼンテーションの目的は、情報の共有かもしれません。外資系企業でのプレゼンは、かなりの程度パフォーマンスです。ある人材の能力と実績をPRする場なので、非言語の伝達力(ジェスチャー、立ち姿など)も含め失敗しては困ります。
年に数回しか実際には顔を見ない人が、英語プレゼンを見ただけで仕事ができるかどうかを判断するのはおかしいと、最初の頃は違和感を感じるでしょう。私もそうでした。でも、それが欧米の企業文化なのです。
職場で英語でのプレゼンが必要になってきたら、このスキルを磨くことが大切です。英語プレゼンはビジネススキルで、向上させることが可能なので基本を学び練習することで見違えるほど上手になれます。
前出のホフステード異文化モデルには、集団主義 vs 個人主義の指標もあります。こちらもご想像通り日本に比べると、欧米の会社は個人主義です。その割には、会社のミッションステートメント(社訓)に、”チームワーク”とか”グローバルチーム”と言う単語が並ぶことが多く矛盾しているように感じることもあります。
もしかしたら、文化的に苦手だとわかっているから、わざと意識して書いているのかもしれません。会社員として組織で業績をあげるためには、外資・日系に関係なく、多くの人の力をうまく借りて仕事ができる力は重要です。実は人事のキャリアが長かった私は、生まれながらにチームプレイヤーではありません。職場では隠していました(笑)。外資系で求められるレベルのチームプレー力を持っているように振る舞っていたというのが真実です。
日本企業は、まだ年功序列的な要素が大きいので、誰かが抜きん出て出世するのが難しい仕組みです。しかるに外資系では、業績が認められれば年齢・性別・人種に関係なく早く出世することが可能です。このときの評価を誰がするかと言えば、直属の上司なのです。彼/彼との関係を最低限「普通」に保っておく事は外資系においては非常に大切です。
キャリア相談で、出世の芽を上司に摘まれているという話を深く聞くと、上司との人間関係が最悪になっていることが多いです。ゴマをする必要はありませんが、外資系では生殺権を上司が持っていることを忘れずに、せめて「普通」と言える人間関係を保ってください。
今日は、外資系で必要な成功する人に共通する7つの資質・スキルについてお伝えしました。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。