Global Career Guide
日本人社会は、人前で自分の意見を率直に話すことを奨励しない文化の上に成り立っています。
会議の場で、出席者に役職上の序列がある、自分より年齢が上の人がいる場合、上位の方がどう発言するか、ついつい顔色を見たり空気を読もうとします。
これが外資系になると、だいぶ様変わりします。
もちろん、場をただ壊すだけの意見や、ひとりよがりでは困るのですが、役職に関係なく意見があることを求められます。
私が一番驚いた、そして振り返って、本当に有り難かった経験は、最初の職場である日本GE人事部で起こりました。報告があって、上司だった人事部長のところに行った時のことです。報告が一通り終ったあと、聞かれたのは「それで、あなたはどう思うの?」でした。
当時、新卒に毛が生えたような状態だった私に、自分の考えなんかありませんでした(笑)
状況を客観的に把握すること、わかりやすく上司に説明することで精一杯。
どれもこれも初めての経験で、何を根拠に判断したらいいのかもわからない、社会人一年生でした。
私の上司は、それをわかっていたと思います。
彼女はアメリカの大学のMBA保持者。
誰もが「私が、私が」と主張するNYで、鍛えられています。
日本の大学を卒業している私に意見がないこと、考える訓練がされていないことを、ちゃんと理解した上で、それでも意見を持つように訓練してくださったことを、深く感謝しています。
この時、つたないながらも、自分はどう思うのか?それはなぜか?を考える癖がついたことは、その後の外資系でのキャリア形成上、大きく役に立ちました。
問題を報告する際、ただ事実を伝えるのではなく、自分はこう思いますがいかがでしょうか?と質問できる部下に育つ事ができました。
自分の考えが的外れのこともありましたが、上司に怒られたことはありません。
それは成長の過程だから仕方ないと全員受け止めてくれて、「そういう考え方もあるかもしれないが、やっぱり今回はこうだろう」と教えてくれました。
29歳で部下を持つ上司の立場になった時、最初こそ、違う意見を言われると刃向かわれたように思いましたが、
すぐに、自分が持っていない視点から考えてくれる人がいること、それを口に出して言ってくれる人がいることの有り難さに気がつき、耳を傾けるようになりました。
現在、日系企業にいらっしゃる方は、ご自分の意見を言わない習慣が、結構しっかりついていることを、しっかり認識してください。
現在の職場で、突然、意見を言い始めることでマイナスになるようでしたら、現職場での練習はお勧めできませんが、もし、外資系に転職をお考えでしたら、移ったら最初は様子見をして、ある程度自分の足場が固まってきたと思った瞬間から、自分の考えを人前で口にするように、日和見にならないように、態度を変えないといけないんだなぁと理解して、しっかり舵を切ってください。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。