Global Career Guide

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外資系で必要なスキル(6) – 柔軟性

セミナー講師の仕事を始めてから、参加者が日本企業の社員の方という機会が増えました。


ひとつ、とても気になっていることがあります。

それは、柔軟性に乏しいことです。

どこに現れるかと言うと、アンケートに「演習の設定があいまいでやりにくかった」と書かれる方がいらっしゃるのです。最初はかなり驚きました。

セミナーの演習は、あくまで練習ですし、特にリクエストを頂いていなければ、カスタマイズはせめて業界の事情に合わせるぐらいしかしないのが普通です。

ビジネススクールのケーススタディではないので、設定を細かくと言っても限度もあります。

とりあえず、足りないところは適当に推測して、もしくは情報を適当に足してやってみるというのが、外資系参加者の常ですが、それではどうも気持ち悪い方が多いようです。


うーん、外資系だと務まらないかもしれないと思う点ですね。


外資系人事のキャリアで、柔軟性と受容力が最も必要だったのは、最終的に日本から撤退したIT企業に務めていた時のことでしょうか。

その企業の会計年度は、1月から12月だったのですが、第1四半期は、いけいけ採用でした。

第2四半期になって、突然、グローバルで採用凍結になりました。

すでに採用のプロセスに乗っている候補者が何人もいる中、会社の業績が悪いと外部にわからないようにするには、どうしたら良いものか。


とりあえず、すでに面接が終っている候補者に関しては、面接した人が海外出張に行って結果をFace to Face で話せないとか、二次面接の人に時間がないとか、苦肉の策で時間稼ぎをしました。

ヘッドハンターにも同じ手で引き延ばし作戦をして、業績が悪化しているとマーケットに噂が流れないように必死でした。

第3四半期がスタートしたら、また採用して良いことになり、本社の気が変わらないうちにと、大慌てで採用プロセスを加速させ、ばんばん決めるために大忙し。

そして、この後なのですが、実はもう一度採用凍結になったのです。

第4四半期になった途端、グローバルにフリーズすると。

正直、「いい加減にして欲しい」と思いました。

「ダムの水門じゃないんだから、採用弁をそんなに簡単に、開けたり閉めたりできない」と、ちょっとキレそうでした(笑)


でも、それが外資なのです。


目先の利益出し重視で、10年先のことを考えて経営してるとはとても思えないので、こういうことも極端な話、あり得ます。

その時、とりあえず、目の前の本社方針に従って、テキパキ対処できないようでは、外資系のしかもスピードが早い業界では、全く役に立ちません。


柔軟性、自信ありますか?


もし、うーんと思われるようだったら、外資系への転職はよくよく考えた方がいいかもしれません。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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