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外資系で必要なスキル(5) – 質問力

セミナーの仕事を始めて間もないころ、私を驚かせた日系企業からの参加者の方の反応は、「質問しないこと」です。最後に10分くらいQ&Aを設けていましたが、ほとんど誰も質問しません。驚いて、日本が長い外国人講師に相談しました。「日本人が人前で発言するの嫌いなの、忘れたのか? 何年、日本人やってるんだよ。Q&Aに10分は、日本人相手では長すぎる」と笑われました。


これが外資なら、当然質問は出るのでそのくらいの時間は必要です。米国本社なら、さらに矢のように出てきます。

小さな事のようですが、明らかな文化の差です。


気が利いた質問ができるということは、相手の話を良く聴いていた、話題に関心を持った、頭がきちんと整理できているを意味するので、そもそも文化に関係なく重要なコミュニケーション・ツールです。


特に外資にいて、自分の意見を自由に述べるだけの英語力がつくまでは、便利なコミュニケーション・ツールでもあります。


例えば、英語での会議に参加している時。

英語人の会議は、情報共有のためではなく、問題解決のためになされることが多く、何も発言しない人は、能力がない イコール 参加していても意味がない人ということになるので、気をつけないといけないのですが、

英語での会話についていけてなかったり、自分に意見はあるけれど明確な英語にする自信がなかったり、そもそも、人前で英語を話すことに抵抗がある段階に自分がいる場合。

意見が言えなくても、せめて質問ができれば、参加しているとカウントしてもらえるので、株は上がります。

勿論、ここで重要なのは、その質問が的を射た良い質問であることで、質問さえすれば中味は何でもいいわけではありません。


その他、日本人にとって、質問力がなんと言っても重宝するのは、英語でのテレコン(teleconference)の時です。

相手の顔が見えないテレコンは、コミュニケーションが非常に難しく、かなり高度な英語力を必要とします。

ネイティブの英語も聴き取れないかもしれませんが、アジア・パシフィックやグローバルでのテレコンになると、いろいろなアクセントの方が混じって、なおさら聴き取りにくくなります。

「英語が良く聴き取れないし」と、流して参加していると、本社のMCから「日本チーム、静かなようだけど、いる?」などと、突然振られて、「あー、うー」になってしまいます。


しっかり聞く努力はして、自分の意見まではまだ言えなくても、せめて最後に「質問はありますか?」と言われた時に、気が利いた質問を出せれば、十分テレコン力・中級まで来ていると思います。


質問力を駆使して、英語での難しいコミュニケーションの場を乗り切りましょう。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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