Global Career Guide
元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。本日は、外資系では欠かせない、アサーティブネスについてお話します。
この記事は、現在日本企業にお勤めで、英語力を生かして外資に転職されたい方や、外資系企業にお勤めで、もっと上を目指したい方に向けて書かれています。
最近、お仕事をしながら、先方にアサーティブネスが足りないなぁと思うことがありました。
日本企業とお仕事をさせていただくことになり、どのような研修にするのかを詰めていますが、課題は、研修の内容がなかなか決まらないことです。
担当者が複数いらして、責任者もおられるのですが、自分の責任になるのを回避されたいのか、皆さん、打ち合わせの場で意見をおっしゃらないので、先に進みません。これが「合議制」なのだと覚悟はしておりますが、ここは責任者の方が仕切ればいいのでは、と思うような場面が多々あります。
日本企業の“意見を言うことを評価しない”企業風土を感じ、企業文化とはこんなに異なるものかと、いつもながらに驚きます。外資系では、自分の意見があること、相手が納得できるように表現できることが非常に大切です。日本人同士であれば、もちろん、日本文化への配慮をして、モノの言い方に気をつけます。相手が英語人ならば、それなりにはっきりモノを言えないと軽く見られるので、結構ストレートな言い方になることもあります。
理想は“アサーティブネスのギヤチェンジ”ができるようになることです。
ただいま、「外資系企業への転職ガイド(仮題)」を執筆しており、昨日、日本企業にお勤めで、TOEIC850点以上の方に集まってもらって、ヒヤリングを行いました。
皆さん、海外経験が豊富なためか、自分の意見を持っている方々でした。そして、この場では発言して大丈夫とわかると、全くためらうことなく発言されました。では、職場ではどうしているかというと、意見があっても言わなかったり、相手を見て、この人には言っても大丈夫と判断したりするなど、アサーティブネスを使い分けているそうです。ギヤを入れ違えると、「あいつは生意気だ」になるのでしょう。
外資への転職を考えている方には、ご自分が「アサーティブ」なタイプかどうか、今アサーティブでなくても、環境が変わったら変身できそうかを、真剣に考えることをお勧めします。外資は、「能ある鷹なら、爪を持っていることを見せろ」の文化です。謙遜の美徳という概念は存在しません。自分の能力をアピールできることも、才能の一つになるので、不得意だと損をします。
外資にすでにお勤めの方は、日頃からアサーティブネスを意識して過ごされていますか? 英語人が出席している会議の場で、黙っている人ほど「無能」と誤解されることはないので、意見を述べてください。英語力に自信がなくて、つい話すタイミングを逸してしまうことも起こりますが、内容があればきちんと聞いてくれるので大丈夫です。
なかなか難関なのは、電話会議です。そもそも相手が見えないので、コミュニケーションが取りにくいところ、英語なのですから、慣れるまで冷や汗ものかもしれません。私は、最初の頃、英語が聞き取れなくて困ってしまいました。そうは言っても黙っていると、”Japan team is quiet. What are you doing?” などと、いきなり振られて、あたふたしてしまいます。私は慣れるまで、内容は流しながら聞いて、最後の質問タイムにする、気の利いた質問の中身だけを考えていました。ずっと黙っていると参加していないとみなされますが、質問をすると、チームに貢献したとカウントしてもらえるからです。
外資系への転職にも、外資系での昇進にも「アサーティブネス」が鍵になります。転職を決める前に、ぜひ点検してみてください。
アセスメントツールLUMINAを使う個別キャリア相談はこちら
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。