Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「外資への転職で節目になる3つの年齢」です。
外資とは言え日本法人は、海外本社と全く同じわけではありません。基本的には年齢・性別不問ですが、3つ節目となる歳があります。日本企業から外資への転職を考えたい、または長期的なキャリアをプランニングしたい時に参考にしてください。
外資系が、職歴・経験にこだわらず本人にポテンシャルがあると思えば、採用する年齢の上限です。つまり20代なら、大きなキャリア・チェンジも可能ですし、例え、履歴書に紆余曲折があったとしても、外資は許容してくれるので本当にやりたいことがあったら、チャレンジしてください。他方、この年齢を超えると大きなキャリア・チェンジが難しくなります。同じような年齢ですでに10年近い業界経験がある候補者がいれば、即戦力重視の外資は、そちらを優先して採用します。
30代以降の方が今までのキャリアを大きく変えたい場合は、現在の職場で異動できないかを真剣に考えることをお勧めします。すでに「仕事ができる」と評価されている職場であれば、経験がなくても社内異動できる確率は高いからです。現職から外に出ることを決意して、英文履歴書を提出すると即戦力が無い人と書類上は映り、書類選考で落ちてしまう可能性が残念ながら高いです。
その場合は、「なぜ自分なら出来ると思うか」を客観的に、熱意を持って伝えられることで、ハードルを乗り越えられることがあります。
日本企業にお勤めの方が、外資に初めて転職したい場合の上限の年齢になります。それぞれの企業に文化があり、人は年齢を重ねるごとに柔軟性をなくしがちです。20年間同じ企業に勤めていると、その企業の影響を多大に受け新しい環境に適応するのが難しいのではと、採用する側は判断するからです。
私自身、この年齢を超えた方の採用で3件ほど失敗しています。日本の大手企業が20年以上ある方を、経験値・知識を見込んで採用させていただきましたが、最終的に環境に馴染めず「前の会社では」を頻繁に使われて周囲も困ってしまいました。柔軟性は、新しい職場に慣れるためには重要な資質です。ご本人も、「こんなはずではなかった」「前の会社の方が良かった」と、前職と比較されて辛かっただろうと思います。3人のうち2人が1年以内にお辞めになりました。
残念ながら年齢に対する偏見がある日本の労働市場では、この年齢を超えて転職できるのは3つのカテゴリーの方だけですので、若い方もぜひ意識してください。選択肢はa) 現在、役員クラスである b) 高度に専門職で売り手市場である c) ポジションを1ランク下げて転職するです。
将来、起業する予定がなく、一生組織に属することになりそうな方は、専門性を磨くことを意識しながら仕事をして転職を決めないと、人生の後半で大きくつまずくことになるので、どうか前半戦のキャリアを大事に築いてください。
ご本人の仕事が高度に専門職でない場合は、過去の人脈を振り返って自分のことを引き抜いてくれそうな方はいないか、よく考えてみるのが一番の早道です。元部下で、人脈で転職に成功してきている方の例を挙げます。
20年くらい前に一緒に働いたことがある女性で、30代半ばから還暦近い現在まで、人脈だけで転職できています。人当たりと面倒見が良くて、英語ができて、複数の仕事を同時に回すマルチタスキングが得意で、不満を言わないという、上司から見た理想の人材なので、引く手あまたで困らないのです。仕事の内容はサポート的なことが多く専門職ではないですが、50代で就職された現在の職場も、昔の上司からお声がけがあったそうです。
もし、彼女が、王道の転職活動をしたらどうでしょう。転職回数が多い上に、「年齢が…」と言われて、たぶん面接にこぎつける前に、書類選考で不合格になってしまうでしょう。50歳以上の転職に、人脈は欠かせないので、ぜひ棚卸しをしてみてください。お若い方も、将来のことを考えて、「まず目の前の仕事を頑張って評価を残す」「人間関係のトラブルを起こさない」を大事にして、人脈を築く努力をぜひ実行してください。
外資系への転職に関係する3つの年齢、30歳「大きなキャリアチェンジができる上限」、40-42歳「初めて外資系に移るならこのあたりまでに」、50歳「かなり多くの人材の転職が難しくなる年齢」について解説しました。職業人生は長いですし必ずしも計画通りにはなりませんが、後半戦を意識できると充実したキャリアになります。楽しみながら頑張ってください。応援しています!
Xでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki 良かったらフォローしてください。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。