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外資に向いている人、向かない人

元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。現在、日本企業にお勤めで、外資系企業への転職を考えているけれど一歩が踏み出せないという方のために、適性についてお伝えします。

もちろん、現在、外資系にお勤めの方も改めてご自分を再確認してみてください。もしかしたら、お仕事がうまく回っていない理由が潜んでいるかもしれません。本日は4つの切り口でお話します。

1.自己PR度


英語圏は、自分の意見があることをよしとする文化で、主張をロジカルに端的に言い表わせることを高く評価します。つまり、自分を多少大きく見せる能力が必要です。もちろん、実力がなくてはいけませんが、90点を100点に見せられる、100点を120点に見せられる事が重要になります。謙譲の美徳という概念は存在しないので、「能ある鷹なら立派な爪がある事を見せる」必要があるのです。


キャリアカウンセリングにお越しになられた方に、「英語はお出来になりますか?」と尋ねた事がありました。その時の様子で、英語は出来ないと判断したのですが、よく聞いてみると、なんとTOEIC940点だとおっしゃるではないですか。その瞬間に、外資系を転職先の候補から外すことを提案しました。


外資に行かれる方は、同じ質問をされたら、「TOEIC940点です。ビジネスで困ることはほとんどありません」と答えられないとダメですね。自己PR度が低い謙虚すぎる方は、損をする企業文化なので、ご自分はどうかを考えてみてください。

2.想定外の対応度


どこの国の資本かにもよりますが、外資は短期志向の傾向があり、その時々に方針を変えるので、現地法人としては「想定外」と思えることが多発します。その時に、柔軟に構えて「まぁしょうがない」と即座に対処できるのか、「筋が通らない」とその度にストレスに感じるのかは大きな差を生みます。


例えば、米系IT企業に勤めていた時、第1四半期、イケイケの採用モードでした。第2四半期、突然、採用凍結になりました。その前までものすごい勢いで採用活動をしていたため、まだ面接のプロセス途中の候補者がたくさんいて、関わっているエージェントも何社もあり、会社の景気が悪いと見せないようにどうお断りするか四苦八苦でした。第3四半期、再び、採用して良いになり、さすがにいい加減にして欲しいと思いましたが、会社員なので組織の方針に従って指揮を取るしかありませんでした。部下の中に一人、「やってられません」と公言した方がいて、その後、日本企業に戻ることになりました。


どちらが良い悪いではありませんが、向き不向きはあると思います。

3.自立人材度

自分のキャリアを形成するのは自分の責任だとわかっていないと、外資系で出世していくのは難しいかもしれません。新卒向けのオリエンテーションも、日本企業に比べると短いですし、その後の研修も自分から機会を狙うくらいの気概がないといけません。入社から会社が面倒を見てくれて、何年度研修というものがきちんとある日本企業と外資は違います。異動も自発的に自分が手を挙げるOpen Position Systemを利用して、自らキャリアを切り拓くことが外資では大事です。

4.専門家としての度合い


大まかに言うと、外資は専門家を養成する組織、日本企業はジェネラリストを養成する組織と言えると思います。どちらが良い悪いはありませんが、何かの理由で組織を離れないといけなくなった時、ジェネラリスト、いろんなことが少しづつ出来る人材は、労働市場における価値が高くないことは理解しておくべきと思います。市場は、専門家を求めているからです。


まとめると、「自分をPRできる力がある」「想定外のことが起こっても柔軟に対処できる」「自分のキャリア形成の主導権を握れる」「専門家になろうと努力できる」人材は、外資系に向いています。

ご自分が外資に向いているかどうか、立ち止まって確認してみてください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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