Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。今回のテーマはよく聞かれる「外資に向いている人はどんな人?」です。
外資で働くようになると、性別・年齢・国籍・宗教・LGBTQなどの多様性全てを許容し、視点が違うからこその多様な発想を素晴らしいと思えることが大事になります。日本流が全てと思い込み相手に押しつけても、機能しないどころか摩擦の原因になることが多いです。
世界中の国の価値観・考え方・仕事のやり方は違うので、どうすり合わせていくのかを楽しめることは非常に大事です。日本のやり方にとらわれず、時には譲り、時には曲げずの積み重ねを面白がれると本人も周囲も楽です。
外資の本社はよく方針を変えます。これはホフステード異文化モデルの、不確実性回避度で説明できます。簡単に言うと石橋を叩きたいかということです。日本は1-100の物差しで92(スコアが高いほどその傾向が高い)、世界でも名だたる「石橋を叩きたい」国です。前例がないこと、先がよく見えないことはできれば避けたい人が多い国です。
他の国のスコアを見ると、
・アメリカ 46
・イギリス 35
・ドイツ 65
・中国 30
・マレーシア 36
で、将来が不確定でなくても怖くない国もあることがわかります。
日本のように最初によく考えて根回しをしてからプロジェクトを始めるのではなく、とりあえず始めて走りながら考えることを良しとするわけです。途中で間違っていると気がついたら軌道修正すればいいだけという考えなので、朝令暮改のようなことがどの部でも起こります。 いちいち怒っていたら身がもたないので、柔軟に変化を楽しめないとかなり辛くなるでしょう。
日本は、世界でも最たるハイ・コンテクストの国です。あ・うんの呼吸、行間を読む、空気を読むなど、口から発した言葉以外を憶測しようとします。日本人同士の場合は良いかもしれませんが、多国籍軍団で仕事をする場合これでは通じません。
上司が部下に「それやっといて」と英語で伝えることはあり得ないわけで、「何をいつまでにどのように仕上げて欲しい」を明確にロジカルに伝えないと相手に伝わりません。世界のすべての国がローコンテクストなわけではないですが、英語で仕事をする環境になったらしっかり気持ちを切り替えて、「ローコンテクスト」つまりは、明確に伝えるコミュニケーションを取ることが肝要です。
日本人は誠実で正直です、「できないものはできない」と言いたいですよね。その発想はグローバルかと言えば、残念ながら答えはNOなのです。
英語圏は、ポジティブなことを好みます。NIKEのキャッチフレーズ覚えていますか? “Just do it”(とにかくやってみよう)です。出来ないかもしれないと自信なさげに悩むのではなく、きっとできると根拠のない自信を振り絞って、とにかくやってみるのが外資流です。
外資は自己責任の世界です。もちろん、新卒社員の方にDay1から即戦力を求めたりはしませんが、新卒オリエンテーションも最低限での長さで、あとは自分で道を切り拓いてくださいというスタンスです。
何から何まで教えてもらわないと、仕事がいつまでもできるようにならない人材は外資にはいません。必要な情報は、検索したり人脈から得たり自ら集めることができることが求められます。
「自立型」はキャリアの形成においても必要です。会社は研修などの「成長の機会」を提供しますが、年次ごとで全員が受けるトレーニングは存在せず、自主的に受けたい研修で公開のものに手を挙げるのは社員が率先してすべきことです。外部に参加したい研修があって、会社に費用を持ってもらえないかとかけ合うのも、自立型人材で向上心が高いから出来ることなので、予算の問題がなければ歓迎されます。
今回は、外資に向いている人材の要件を5つ挙げました。幾つ当てはまりましたか? 4つ以上なら外資にすぐ転職して大丈夫です。3つ以下の場合は、足りないところを強化する努力をしましょう。応援してます!
Twitterでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki 良かったらフォローしてください。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。