Global Career Guide
元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。お正月気分も抜けたのか、個別キャリア相談が増えてきました。人間関係に悩まれている方が多いようです。
転職理由の上位に、「上司・経営者の仕事のやり方が気に入らない」「同僚・部下とうまくいかない」など「人間関係」が上がるのは、外資も日本企業もあまり変わりません。同じ人と同じオフィスで仕事をする環境であればなおさら、相性が良くない人と長時間仕事をすることが苦痛になることはあるでしょう。
ここで大事なのは、そのために転職を決意すべきかを、冷静に決断できるマインドです。人にはタイプがあり、好き嫌いもあり、常に非常に気が合う人とだけ仕事をするのは不可能です。相性が合わないことを理由に転職を繰り返していたら、それこそジョブホッパーになってしまいます。
安易に人間関係を理由に転職を決める前に、客観的に今の状況を見直しましょう。
私が無条件に転職を勧めるのは、セクハラ・パワハラなどが原因で、メンタルにバランスを崩され始めている場合のみです。メンタルな不安定さは、こじらせないことが一番で、初期なら治りも早いのですが、こじらせると再発したりご本人にとって辛い状況になってしまいます。早めに退散するのが一番だと思っています。
それでは、今すぐの転職を必ずしも進めないケースについて、見ていきましょう。
まずは一般論ですが、人間関係が長期的に固定でないことが外資の良いところだということを思い出してください。上司だって転職する可能性はあるわけで、その確率はどのくらいあるかを冷静に考えてみましょう。ご本人が結果を出されていて会社に高く評価されており、会社を気に入っている場合は、転職される確率は低いでしょう。結果を出せていて高く評価されていても、会社に不満がありそうな場合は、さらに高い年収でヘッドハントされないかなぁと実は思ってらっしゃるかもしれません。相手が動くのを待っていればいい場合もあります。これは上司だけではなく、同僚についても同じことが言えます。もしかしたら1年後には状況が変わり、自分が移らなくても良いかもしれないのです。
次に冷静に見直してみたけれど、やはり自分が転職するしかないと判断する場合、どうするかです。元・人事としては、できれば「人間関係」以外の転職理由を考えて欲しいです。人事にはいろいろな相談が持ち込まれるので、理解はしますが、相手が候補者の場合、ポジティブな転職理由かどうかを見極めるのは難しいです。
人間関係が悪い場合、どちらかが一方的に100%悪いことはほぼ無いというのが、人事の経験値だということを、心に留めていただけたらと思います。転職理由を話しているうちに、相手のことや、嫌なことを言われたりされたことを思い出して、ネガティブな話からだんだん悪口ばかりになることは結構あります。人間には感情があるので仕方ないのですが、面接の場面ではあまり望ましくありません。「感情的な人柄なのだろうか」「もめているのは、本当に上司/同僚だけが悪いのだろうか」など、あなたに対する評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
うまくいってない人間関係について話すときは、
a) 相手の良いところを探して、そこにまず触れる
b) くれぐれも感情的にならずに淡々と話す ことが大切です。
相手の良いところとは、「個人として非常に質の高い仕事をする」などです。「そのために、部下にも100点の精度を求めマイクロマネジメントなので、任せてほしいタイプの自分は息がつまる」などの本音は最初から言わないのがコツです。
Good Luck!!
アセスメントツールLUMINAを使う個別キャリア相談はこちら
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。