Global Career Guide

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出だしを短く、結論を先に

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
今日は、主宰しているグローバル人材育成塾・世人(せじん)塾で、気になっていることをテーマとさせていただきます。

気になっている事とは英語で発言するとき、出だしを短くして結論を先に持ってくることができないです。つまり導入部分が長くて、「結論は?」と言いたくなる日本人が結構多いということです。

アメリカ人の友人が全く同じ感想を述べていたので、実例をシェアさせていただきます。彼女がACCJ(American Chamber of Commerce, アメリカ商工会議所)で講演をしたときのことです。最後のQ&Aのところで、”Do you have any questions?”と聞きましたが最初は沈黙だったそうです。欧米と違って質問が無いのは日本が長い彼女にとっては想定通りだったので、さてクロージングに入ろうかと思ったときに、ある方が手を挙げたそうです。質問が出ると場が盛り上がるので、良かったと喜んだのは束の間だったそうです。

この質問者、まずは出だしがとにかく長かったそうです。ご自分の自己紹介から始まって、講演者が述べたことに対しての感想が延々と続き、途中で”What is your question?”と聞きたい気持ちを抑えるのが大変だったと苦笑いしていました。周囲の英語人参加者も、表情から少しウンザリ気味なのが見受けられたそうです。

質問は?と聞かれているわけなので、自己紹介は名前以外は不要ですし、講演に対する感想をとうとうと述べる事は全く期待されていません。”My name is Micky Suzuki.  My question is XXX.” で目的を果たしており、なおかつ十分だと思います。

世人塾の講座に英語人が登場して、話し合いを持つレッスンがあります。英語がそれなりに話せる方で、英語人とのコミュニケーションにまだ慣れてない、もしくは機会があまり無い方は、出だしが長くなりがちです。つい、状況を長々と詳細にわたって説明するところから入りたくなってしまうのですが、英語人の発想ですと、「まず、今日は何のミーティングなのか? 何を話す事を目的としているのか?」を先に持って来て欲しいのです。

ほとんどの方への英語人のフィードバックは ”I wanted you to state the meeting`s purpose first.  Your introduction explaining the situation was too long. “ です。一度だけ ”Your opening was great!”と評された生徒さんがいます。彼はどうしたかというと、英語力に自信がなく複雑な状況説明ができないので、”Today, I would like to talk about payment.” と短刀直入に切り出したのです。欧米の文化で、お金のことを話すのは全く問題無いですし、何についてのミーティングなのかがわかりやすいと高い評価を得たのです。このことは英語力に自信がなかった彼に、「英語人とのコミュニケーションで大切なのは、どれくらい英語力があるかではなく、彼らのロジックで話を組み立てられるかどうかである」という大きな学びをもたらしてくれました。

英語での鉄板の流れは、「結論」→ 「理由やデータ 1, 2 & 3 」→ 「結論を繰り返す」です。帰国子女の日本人は、ロジカルコミュニケーションと全く関係ない研修中に日本語で話していても、この流れになっていることが多いです。教育のかなり早い段階から体に染みついているのだと思います。日本語は奥ゆかしく曖昧としていることも多いですが、周囲が行間を読んだりおもんばかったりしてくれるので通じますが、それを英語でのコミュニケーションに持ち込まないことが大切です。

出だしは短く結論を先に出すを心がけてください。ロジカルコミュニケーションには、マッキンゼー・ジャパンが考えた「ソラ・アメ・カサ」の法則も役に立ちます。どんな法則でどのように使うのかご興味ある方は、

2時間の世人塾オープン・セミナーにご参加ください。 多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できるグローバル人材のためのコミュニケーション講座を開催中です。http://atglobe.jp/lp

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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