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人と比較しないキャリアを外資系企業で築く

日本には一括新卒採用という独特なシステムがあります。この仕組みの中では、同じ時期に同じ会社に入社する「同期」が存在し、キャリアや成績を比較しやすくなる環境が自然と生まれます。特に20代は独身で家族を持たない人が多いので、仕事に対するコミットメントや成長スピードが共通の話題となり、同期同士の競争心が強まることも多いです。しかし、この「人と比較する癖」はキャリアを築く上でプラスにはなりません。

同期と比較する落とし穴

新卒で入社すると、同じタイミングでスタートを切った同期がいることが大きな安心感を与える一方で、彼らと自分を比較する場面も多くなります。特に20代前半は、年齢や家族状況が似ているため、仕事の成果や昇進スピードを自然と比べてしまうことが増えます。会社内で評価されるタイミングや、プロジェクトの成功度、さらにはボーナス額など、あらゆる要素で自分と他者を比較してしまうのです。

例えば、私の入社時はどうだったかというと、同じ日に入社したのは新規事業開発部の部長でした。一緒に入社オリエンテーションを受けましたが、会社にとっては当然、部長の方が大事です。彼のレベルに合わせた内容のオリエンテーションで新卒の私は、半分近く何の話をしているのか理解できず「これは大変なことになった、しっかりしなければ」と強く思ったことを思い出します。新卒と部長が「同期」なはずはなく、私には他の人のキャリアと自分を比べる習慣がありません。

特にSNSが普及している現代では、他人の成功や華やかなライフスタイルを目の当たりにし、自分が遅れを取っているのではないかと感じる瞬間が多いです。SNSに投稿されている情報は真実を反映しているとは限りません。多くの場合、投稿者は自分の良い面だけを切り取り強調していることが多いです。それを鵜呑みにして卑下することは危険です。

外資系企業でのキャリア形成は個人の価値観に基づく

外資系企業でのキャリア形成は、個人の価値観や目標が影響します。日本企業のように年功序列や定期的な昇進のシステムがないため、自分のペースでスキルアップやキャリアチェンジが可能です。そのため、「他人と比べても意味がない」という点が大きな特徴です。

また、外資系では多様なバックグラウンドを持つ人々が集まっているため、比較基準そのものが存在しない場合も多いです。たとえば、同僚の中には中途採用で転職してきた人もいれば、海外の大学で学び、そのまま外国での職務経験を積んできた人もいるでしょう。このように、各自のキャリアパスが全く異なるため、他者との比較は意味を成さないのです。前出の、新卒だった私と他部署の部長がお互いを比べるはずはないのと同じです。

自分のキャリアは、自分の目標に基づいて進めるべきものです。他者の基準に引きずられることなく、まずは「自分はどういうキャリアを築きたいのか」「どんなスキルを身につけたいのか」を明確にしましょう。これが外資系企業で成功するための第一歩です。

比較を避ける具体的な方法

では、どうすれば他人と比較する癖を避けられるのでしょうか。まず、自己分析を行い、自分の強みや弱み、そして自分が本当にやりたいことを把握することが大切です。それにより、他者の評価や成功に左右されずに、自分の道を歩むことができます。以下のポイントを意識してみてください。

a) 目標を明確化

自分自身のキャリア目標を具体的に設定することで、他者の成功に影響されにくくなります。自分の目指す方向が定まれば、他の人がどのようなキャリアを歩んでいるかに気を取られることは少なくなります。たとえば、あなたが「英語を活かしたマーケティング職で国際的に活躍したい」と考えているなら、その目標に集中し、他の分野での成功例に惑わされることはなくなります。

b) 目の前の仕事に全力投球 

誰かを羨ましいと思っている間は、自分の行動が止まる可能性が高いです。自分がやるべき仕事にコミットして、最大のパフォーマンスを出すことが次のステージにつながります。自分にしかできない仕事をおろそかにしないこと、誰かが見ていてくれると信じることは大事です。

c) 学ぶ姿勢 

他人と比較するのではなく、学びの姿勢を持つことが重要です。同僚や友人が何か素晴らしい成果を上げていた場合、それを「自分はできていない」と落ち込むのではなく、「どうやってその成果を出したのか」を探るチャンスとして捉えるのです。仕事が上手くいった人たちは必ず努力と工夫をしているので、それをあくまで参考にすることで自分の成長につなげることができます。

自分軸を持つことがキャリアの成功につながる

最終的には、「自分軸」を持つことが、他者との比較に左右されないキャリア形成の鍵です。自分が何をしたいのか、どんな価値を提供したいのかを明確にすることで、他人の評価や成功に振り回されずに、自己成長を続けることができるのです。外資系企業での成功は、他者との比較ではなく、自分の目標に向かってどれだけ努力を積み重ねるかにかかっています。ぜひ、他者との比較から解放され、自分らしいキャリアを歩んでください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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