Global Career Guide

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ネットワーキング力

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマはネットワーキング力です。

なぜ、社外人脈が必要か

皆さん、社外にどのぐらいネットワークをお持ちですか?

人生100年時代になり、このコラムの読者はおそらく70歳まで働くことになるのでしょう。70歳まで会社員でいられる自信はありますか?

今でさえ「50の壁」が存在し、50歳を越えると転職エージェントからお声がかからなくなる現実があるのに、さらに長い期間働くことになるのはちょっとリスクがありそうです。キャリアの後半戦への備えを早めに考え始めたいところです。

昔、「なぜ社会人脈が必要なのか」と問われたら「そのほうが人生豊かだから」と答えていたかもしれません。2023年に同じことを聞かれたら「キャリアの後半戦で助け合える仲間を多く持ちたいから」と答えます。

社外人脈が広いと人生が豊かになるのは今でもその通りです。違う業界の話を聞いたり、異業種の集まりに誘ってもらって新しい着想を得たり、利害関係が全くなければ時には愚痴を吐くことも気楽にできます。安心して素の自分でいられるサードプレイスがある事で、人生は豊かになります。

キャリア形成の観点からすると、変革の時代にもし自分の会社に何かあったら、助けてもらえるのは社内の人ではありません。基本的に会社の人は同じ船に乗っているので、お互いを助け合うことは残念ながらできないからです。

何かあったときに自分に声をかけてくれる人が社外にどれだけいるかは大きいです。私の友人、知人は、キャリアの後半戦に差しかかっている人が多いですが、転職できている人は100%知人・友人からの声がけがきっかけです。昔から知っていて、仕事のレベルも大体憶測できる、もしくはよく知っているので年齢に関係なく声をかけてくれるのです。いずれ独立すると決めている人以外は、助け合える仲間を増やしておいた方が良いです。

社外人脈をどう築くか

今の時代であれば、SNSを利用するのが圧倒的に効率が良いです。ビジネス系であればLinkedInかX(旧Twitter)でしょう。少し時間をかけることで驚くほど人脈は広がります。

私は現在平日8:15a.m.から8:30a.m.、朝活をX上のスペースで開催しています。最初は知人友人・元部下に出演してもらっていました。現在のスピーカーは15人全員、SNS経由で知り合った方々です。

仕事自体もXやLinkedIn経由でいただいています。朝活のメンバーで自ら発信を続けている人には講演の依頼なども来ていて、SNSで発信する事の意義を強く感じます。特に会社員の場合は「見る専門」の方が多いので、その中で発信を続ける方は必然的に目立つことになり、いろいろな機会が会社の仕事以外に広がっていくようです。

SNSで発信したいかどうかは性格にもよるので無理強いはできませんが、彼ら曰く「その他大勢から脱却する」という目標があるのであれば、SNSで発信することをお勧めします。お仲間の中には外資の社長も複数おられるので、「忙しいからSNSをやらない」はもしかしたら当てはまらないかもしれません。

人脈作りで大事なこと

人間をある1つの軸で分けてみましょう。軸は「人間重視」と「結果重視」です。皆さんはどちらのタイプでしょうか? 良い悪いは勿論ないのですが、とすると「結果重視」の方は、今現在、この人が自分の役に立つかで判断しお仲間になるかどうかを決める傾向にあります。

それでも構わないのですが、利害先行で人間関係を広げる落とし穴もあります。相手も利害で付き合うタイプであることが多く、自分が本当に困っていて助けて欲しい時や、怪我や病気などで一時的に力を失くした時に、誰も周りに居なくなった状態になりがちです。

緩く長くつながって、いつかお互いに助け会えたらいいな、位の人間関係を築きたい場合は、自分からギブする位でちょうどいいです。相手がギブバックしてくれるかどうかは分かりませんが、その辺は少し様子を見て自分ばかりがギバーになる人間関係になると踏んだら、フェードアウトすればいいと思います。

以前、「どうして自分の利に今ならないことをする必要があるんですか」と聞かれたことがあります。私心のないボランティア精神には、いつか必ず天からギフトが降りてくると思っています。

例えば、私が起業した直後で暇だった頃、Facebookで内臓を患っている赤ちゃんがいて日本の特殊な粉ミルクを48時間以内にカナダに届ける必要がある。そうしないと、その赤ちゃんの命がなくなると言う投稿を見かけました。誰かが明治乳業まで粉ミルクを受け取りに行き、成田空港で関西から駆けつける叔母さんに託す必要がありました。私は、見返りを考えず、ミッションを遂行しました。

蓋を開けたら成田で出迎えてくれた叔母さんは、旧帝大博士課程の助手をされていました。後に、私はその大学でセミナーを英語ですることになり、実績がなくて困っていたのに一気に箔がつく有難い経験を得ました。

「あー、善意は回るんだなぁ」と強く思い、それからは自分がギバーになることをよしとしています。もちろん程度はあり、どこかで線を引くことはしています。

つくづく目先のギブアンドテイクばかりに、目を向けないでほしいなぁと思います。

特に外資で働いている方は本当に狭い世界です。敵を作ると転職先で鉢合わせして足を引っ張られたり、デメリットしかないので、どなたともほどよくつき合うよう心がけたいです。以前、ある会社で上司だった人が部下に心ないことをしているのを耳にしました。2社転職して職場が同じになったものの、上下関係が逆転し昔ひどいことをした元・上司は散々だったらしいと聞きました。

ネットワークは一夜で築けるものではないです。今から少しずつ社外にも目を向けて人脈を広げていってください。誰にいつ、助けてもらうことになるのかわからないのが、人生の面白いところです。目先の利害だけでつながろうとしない方が、緩く長く続くネットワークを維持できるので気楽に構えて、社外にも目を向けてください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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