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グローバル会議に見る「アサーティブネス」の大切さ

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。週末は、ホフステードの異文化6次元モデル認定講師講座に参加していました。エクササイズで「アサーティブネス」の必要性を強く感じるものが多かったので、本日は「アサーティブネス」をテーマにします。

講座では、文化の違いを測る尺度として6つの次元を深く学び、それをもとに世界の文化を6+1のグループ(クラスター)に分けて、それぞれの特徴を詳しく学びます。

面白いエクササイズに、割り当てられた文化圏に属する国の人になりきって英語で会議をするというものがありました。私はなんとこの多様なグループのファシリテーターを仰せつかりました。私が属する文化圏の特徴は、「協力、同意、博愛、コンセンサス、信頼性、妥協、社会的責任」などです。

お題は、分配金をどうするかでした。ドイツ人役の人が、「なんのためにこの会議は必要なんだ?  アジェンダは?」とファシリテーターのオープニングも待たずに切り出しました。すかさず、アメリカ人役が「アメリカが一番売り上げ高いんだから、俺たちが50%もらう」と返します。

本来の私は、アメリカ企業での経験が長いのでアメリカ人の真似が一番楽なのですが、そこは我慢。オランダ人・デンマーク人・ノルウェー人になりきってこの状態をファシリテートするのは大変です。まずは、ドイツ人に「この会議の目的は、8か国で分配金を分けることです。どのように分けるかの方法について議論します」と答え、アメリカ人に対しては、「全員の意見を、まずは聞きましょう」と素早く返答しました。

さらに大変なのはこれからでした。フランス人はそもそも会議に参加する気がないのがありあり、中国人二人はぺちゃくちゃしゃべっていると思ったら、突然「そんな大事なことは、ボスの承認なしで決められない。どうして、上司がこの会議に招かれていないんだ」と大騒ぎ。内心、「権限移譲されて参加してるんじゃないのかいな」と思いましたが、私が属する文化のファシリテーターはそういう発言をするはずはないので、これまた我慢。フランス人がやっと会議に参加し始めてくれたと思ったら、言ってることが抽象的で何が言いたいのかわからず、アメリカ人に「あなた何が言いたいの?」と突っ込まれました。

自分たちが背負う文化の価値観から物を言うので、会議はぐちゃぐちゃ、何度も「今日の議題に戻りましょう」と交通整理しようとしますが、とにかく大変でした。

そう言えば昔、アジアパシフィックの電話会議に出ていた時、人の話を最後まで聞かない国が2か国あって(インドと中国です)、MCがいつも苦労してたなと思い出しながら、頑張りました。

ロールプレーでなりきれるかどうかは、その方の性格にもよるかもしれませんが、日本人の「奥ゆかしさ」「控えめさ」を消せるかどうかがポイントになります。人前で自分の意見を話すことはよくないと教育されて育った日本人、ついついアメリカ人のように競争的な物言いをしたり、ドイツ人のように手続きやシステムを先にすることが重要でそれがクリアーにならないと先には進まないぞを強く主張することが難しいのです。

「アサーティブネス」という単語を昨日ほど重要だと思ったことはありません。相手に関わらず、対等に誠実に率直にものを言うのが「アサーテイブネス」です。相手が強く出たので、ついひるんでしまい何も言えなくなるようでは、グローバルな舞台では通用しません。

「田中さんは、どう思いますか?」と指してくれるグローバル会議は存在しないのです。意見がある人は口に出すのが当然、口に出してないということは何も意見がないわけで、イコール無能な人ということになります。どんな時にも自分の意見を持つこと、それを英語で表現できるようになることがグローバル人材に欠かせないスキルの一つです。

そうは言っても、急にはアサーティブになれそうにないという方、グローバル人材になるためのコミュニケーションスキル全般を学びたい方は、世人塾の2時間凝縮バージョンにご参加ください。多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できるグローバル人材になるコツをお伝えします。詳細はこちらへ

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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