Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「グローバルな舞台で仕事をするなら『時差』に配慮しよう」です。
すでに外資系勤務の方、グローバルな日本企業にお勤めで海外拠点と仕事をしている方、現在海外に駐在されている方が、ストレスを感じやすい共通項の1つに「仕事相手が時差に配慮しないこと」があります。ヨーロッパ相手ですと、テレコン開始時間はこちらの17:00とかで楽なのですが、先方は朝が始まったばかりなので、終わってから「あの書類出して、これも出して」となりがちで、どこまでつきあうかしっかり決めないと、いつまでも帰れないことになります。アメリカ相手ですと、日本時間で22:00スタートのなんていうテレコンはざらにあり、英語を集中して聞き発言するのでアドレナリンが出まくって、眠気が吹っ飛んで寝られないと言う悩みを抱えることになります。時差は、なかなかやっかいです。
ご参考までに、外資系勤務時代の私の実例を挙げてみます。
まず悪い例ですが、私がGEの先輩達と、ある米系油圧機器メーカーのアジア・パシフィックの立ち上げをしていたときのことです。当時アメリカではダイバーシティ(多様性)が流行りで、ご多分にもれず本社でダイバーシティの会議をすることになりました。私はアジア代表として、本社で開催されたキックオフミーティング参加するため出張することになりました。
その時の本社はオハイオ州。その州の出身者でも知らないような小さな町で、スペースが限りなくあるので本社は平屋建てで2階すらなく、直近でNYのウォールストリートが本社の企業に勤めていた私は、卒倒しそうだったことを覚えています。アメリカの広さを思い知りました。
さて会議が始まり、リーダーが挨拶のスピーチをしました。「私は海外に行ったことがありません、あっ、思い出しました。ハワイには行ったことがあります」と言った時、私とヨーロッパ代表のドイツ人の目が合いました。
「ハワイってアメリカ合衆国だよね。この人がリーダーで、この会議大丈夫??」
…結論から言うと大丈夫ではありませんでした。彼女には「時差」の観念がありません。海外のさまざまな国からテレコンに参加するメンバーがいると言うのに、オハイオ州中心に、どうやら彼女の朝1番、もしくは帰宅前最後のスロットにテレコンを設営したらしく、アジアかヨーロッパが著しく犠牲にならなければいけない事態が続き、海外参加者からブーイングが出ました。外資の社員は、言わなければいけないことは黙っていないので、誰かがしかるべき発言をしたのでしょう。彼女は、5ヶ月でリーダーを降りることになりました。
お次は良い例です。以前勤めていたカリフォルニア州シリコンバレーに本社があるIT企業で、さすがカリフォルニア州に本社を構えるだけのことはあると思った経験をお話します。全世界からありとあらゆる人種がアメリカンドリームを胸に採用されている、本当に多様で素晴らしい職場でした。肌感覚でLGBTの社員も2割くらいいましたが、”So what?(だから何?)”と言う、多様性を最大に活かしている職場でした。
私のボスはグローバル人事の責任者で、本社の方針を北米・ヨーロッパ・アジア・アフリカに伝達する必要がありました。グローバルな環境で仕事をする経験が長い彼は、世界をタイムゾーンで2つに分け、誰もが常識的な時間にテレコンに参加できるようにしてくれました。つまり同じような内容のテレコンを、週に2回実施してくれたということです。海外法人からの参加者からすると、毎週1回必ずあるテレコンが、常識的な時間に始まり終わることは、健康上も精神衛生的にも非常に有り難かったです。
グローバル人材とは、英語が話せるとかプレゼンが上手とか、必要なビジネススキルがあればなれるわけではありません。海外にいる、文化的背景・価値観・生活様式が違うメンバーの置かれている状況を思い描き、最低限の配慮ができるかどうかも重要な要素です。
ご参考までに、私が使っている時差計算ツールはこちらです。
3か所の時間を表示できるので、グローバル会議設定に便利です。
本日はグローバルビジネス上、避けて通れない「時差」のお話でした。
多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できて外国人と協働できるグローバル人材の集いです。楽しく学びながら、コミュニティの中で継続的に成長することができます。
コンテンツの概要は以下の通りです。
初月は無料なので、お気軽に覗いてみてください。詳しくはこちら↓
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。