Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の元に書かれています。
今回の相談者・長田さんは、32歳の男性で、IT系のベンチャーで営業企画の仕事をしています。自分の適性に疑問があるのと、斬新なアイディアを次々と思いつく上司の元で、アイディアが出せないことを批判されることが多く、精神的にも疲れています。キャリアの方向性を考え直したいというのが、ご相談内容です。
最初に4つのカラーのバランスを見ます。積極性の赤(結果重視)のスコアが最も高く、100人並んだら前から20番めくらいに立っていることになり、明らかに長田さんの強みです。実は彼とは仕事で長い間おつき合いがあり、私の中で最もスコアが高いのは、「赤の結果重視」だろうと予想はしていました。納期つまりはゴールを明確にして仕事をする、約束したことにコミットするなど、 目標を達成しようとする気持ちが強いです。
一番スコアが低いのは、感性の黄色(ビジョン重視)で、創造性・革新性などから成り立っています。40%と言う事は全体の半分を切っていて強みとは言えず、「営業企画」の仕事は少なくとも適職ではないのではと疑うことになります。
最初に見た4つのカラーでも、一番スコアが高いのは赤の結果重視だったのに、なぜここでこんなにスコアが低い(アームが短い)のか客観的に不思議です。私が仕事を通じて存じ上げている長田さんは、どう考えても結果重視の人材のはずで、主観的にも納得感がありません。
こういう場合は、さらに細かいデータを見ていく必要があります。
長田さんのマンダラを見ます。強みは、 規律重視・堅実(細かいことが得意) ・人間重視・直感重視・外交的であり、 強みの多い人材です。得意でないのは、内向的・ビジョン重視・結果重視と出ています。ビジョン重視は黄色なので先ほどのデータと合致しますが、不思議なのは結果重視のスコアの低さです。
長田さんの「タフさ」は、内在の自分が98%、日常の自分が3%と大きな乖離があります。本来100人並んだら前から3番目に並んでいるほどメンタルにタフなのに、何らかの原因で日常の自分(職場での自分)が、後ろから数えた方が早いほど「打たれ弱く」なっています。 「競争心」についても、内在の自分(素の自分)は86%なのに対し、日常の自分(職場の自分)は26%と、ここでもスコアを大きく落としています。つまりもともとは、メンタルに非常に強く、負けず嫌いの長田さんですが、現時点では本来の自分を失っているからもしれないとわかります。
長田さんの一つ前の仕事は営業で、全国でNo.1になったこともあるとわかりました。彼の結果重視の赤が本来のスコアであれば、営業は天職のはずなので全く驚かない素晴らしい実績です。
なぜ今、長田さんが精神的に参っているのかを考えてみます。長田さんの現職は営業企画です。創造性・革新性が重要になりますが、長田さんは想像力も革新性も後ろから数えた方が早いくらいしか持っていないのに、この二つを常に必要とする仕事に就いているのです。
また冒頭でもお話しましたが、上司が「まっ黄色」なのではと思うほど想像力豊かで革新的な方なので、常に批判されているように感じたり、批判されなくても低く評価される事が8ヶ月ほど続き、精神的に追い詰められたのではと推察します。
今ついている仕事が、適職でないとはっきりわかり、実は前職の営業が本人にとっての天職とわかったので、長田さんは安心されました。後はどのように自分を取り戻すかです。 メンタルなタフさと競争心がいかに落ちているかを考えると、もしかすると休職するか会社を辞めるかして、環境を大きくリセットする必要があるかもしれません。 仕事を続けながら転職活動をする場合は、特に面接の時に覇気がない印象を残さないよう気をつけること、週末になるべく仕事から離れてリフレッシュすることをお勧めします。 長田さんがご自分を立て直して、天職につけるよう応援しています! ルミナ・スパークでキャリアの方向性を見直したい方は、こちらをご覧ください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。