Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、今の仕事が適職かどうか悩んでいる方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は、ご本人の了承を得て書かれています。
相談者は36歳の男性・虎林さん(仮)で、外資系IT企業でプロジェクトマネジメントをしています。今年になって昇進し、プロジェクトマネージャーになりましたが、部下をうまく率いることができず悩んでいます。
虎林さんの強みは、「結果重視・規律重視・データ重視(堅実)・内向的」ですので、プロジェクトマネジメントは天職です。自分に非常に向いている仕事に就けているのに、虎林さんが悩んでいるのはなぜでしょうか。理由は仕事の中身ではなく昇進したことにあります。結果重視の中に「主導力」の項目がありますが、虎林さんのスコアはあまり高くありません。つまり生まれながらのリーダーではないと言うことです。
もちろん現代社会においては、ぐいぐい引っ張るだけがリーダーではありません。例えば会社のビジョンを明確に示すことによって、部下の気持ちを一つにして同じ方向性に向わせることは可能です。しかし残念ながら、虎林さんのルミナの結果によると彼は大きな絵にはあまり興味がないタイプで、ビジョンを示して部下を引っ張っていくのは荷が重いとわかります。
他には人間重視の緑を生かして、励ましたり時々ハッパをかけたりする、いわゆるエンパワメント型でリーダーの役を務める人もいます。虎林さんのルミナの結果を見ると、彼の緑のスコアはあまり高くないので、エンパワメント型のリーダーにも向いていません。
虎林さんが強いデータ重視、細かいことが得意な「青」が前面に出てリーダーシップを発揮すると、マイクロマネジメントになりがちで、部下がのびのびと実力を発揮する環境を作る事は難しいかもしれません。また彼の「表現力が豊か」のスコアは非常に低いので、指示がはっきりしなかったり、意図が相手に伝わっていなかったりする場面は多々あるだろうと想像できます。一言で言うと、虎林さんは「リーダー」には向いていない人材です。
それが昇進によって、6人の部下の上に立たなければいけなくなり、いろんな意味で歪みが生じて本人は疲れ、部下もついてきてくれていないと言う状態が生じています。
日本では、昇進してマネージャーやディレクターになっていくのが良いとされがちですが、人材のタイプによっては一生、部下を持たない個人のプレイヤー(Individual Contributor)の方がうまくいく場合もあります。本人が無理して出世にこだわったり、また会社側もリーダーに向いていない人を昇進させたりすると、悲劇になってしまうケースもあるということです。
最終的に私は、虎林さんに対して2つの提案をしました。
1. 上司と率直に話し合って、マネージャーから降ろしてもらう。
一時的にメンツが潰れる可能性はあるので、本人にその勇気があるか考えてもらうことになりました。
2. 元の役職に戻ることに抵抗がある場合は、外部に転職するしかありません。
注意点としては、部下を持たない一担当者のポジションを探すことです。ここで欲を出してマネージャーのポジションで転職すると、現在と同じことを繰り返すことになり結果は見えているので、建設的ではありません。
本日は、リーダーに向いていないタイプの人材が昇進で部下持ちになり、歪みが生じて苦しくなってしまった例を取り上げました。ご自分の本来の強みにあったキャリア形成ができますように。応援しています!
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。