Global Career Guide
元・外資系人事部長、1万人を面接したグローバルキャリアカウンセラーの鈴木美加子です。本日は、日系企業から転職をすると決めたものの、キャリアの方向性を迷っている方のご相談を紹介します。
* この記事はご本人の了承の元に書かれています。
相談者は32歳の男性・麻生さん(仮名)で、日本企業から派遣されてタイに駐在中です。そろそろ人事異動の時期で、帰国を命じられるだろうと読んでいて、本社に戻らず日本で外資系に転職することを考えています。この機会にキャリアの方向性そのものも見直したいのが希望です。
麻生さんの資質でスコアが高いのは、結果重視・ビジョン重視・直感重視・内向的です。現在は、工場の現場で不良品が出ないように品質管理を任されていますが、なんとなく仕事に向いていないようにも感じています。
麻生さんは結果重視なので、ゼロデフェクトを目指してコミットすること自体には問題はありません。違和感は、堅実(データ重視)・規律重視のスコアが低いことからきています。細かい数字を追いながら、製品を組み立てるルーティンに興味がないのが本心です。
キャリアを変更するとしたら、どの道を選ぶのが良いのでしょうか?
彼の中に2つ選択肢があり、一つはマーケティングです。ルミナの細かいデータを見ると、想像力豊か・革新的・概念的のスコアが高いので、マーケティングは向いています。課題は、32歳でマーケティングの実務経験がまったくない人を外資が採用するかどうかです。年齢的に、外資が大きなキャリアチェンジを許容する年齢を、ほんの少し超えています。早めに転職エージェントに登録して、通用しそうかを確かめることをお勧めしました。もちろん時間をかけるつもりがあるなら、本社にいったん帰国して、部署異動を願い出るという手もあるはずですが、現在お勤めの会社は社員主導の異動の例はこれまでにないとのことなので、社内異動は使えない手段のようです。
2番目の選択肢は、オペレーションの改善です。これまでにも経験がかなりあり大きな実績も出しているので、英文履歴書上も非常にアピール力がある分野になります。「改善」は、革新的かどうか、変化を恐れないかどうかが重要で、このスコアは高いので得意分野でしょう。オペレーションは、ルーティンが多くデータやプロセスと向き合うことになるので、本来向いているかと聞かれればNOになります。規律重視のスコアが低いからです。肝心なのは麻生さん自身がどう感じているかで、「これまで苦痛ではなかった、むしろ変化させられる・改善できることが面白かった」とのことなので、こちらのキャリアパスをそのまま伸ばす道は大いに考えられます。
3番目の選択肢は、戦略コンサルティングです。能力・学歴・これまでの実績を考えると可能だとは思いますが、企業文化との相性を疑問に思いました。麻生さんは結果重視ですが、その中に含まれる「競争心が強い」のスコアが低いのです。コンサルファームには優秀な人材が多く、出世するにはいろんな意味での競争を勝ち抜く必要があります。人間重視のスコアもそれなりに高い麻生さんは、入社してから「想像していた会社の雰囲気と違う」と感じる気がします。麻生さんのルミナの結果とオンラインでお顔を拝見した上で、この選択肢は外した方が良いと提案しました。
微妙な年齢にさしかかり、キャリアを変えるか、これまでの延長線上を進むか、ここは考えどきです。新しい分野であるマーケティングに挑戦するか、オペレーション改善の分野で転職するか、最後に決めるのは麻生さんです。悔いない道を切り開けるよう祈っています。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。