Global Career Guide
元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。8月も終わりに近づき、外資転職マーケットが活況を取り戻す時期までもう少しです。皆さんが転職を考えるにあたってのヒントになればと、ルミナスパークを使った実例を挙げます。
*この記事はご本人の了承の元に書かれています。
本日は、「キャリアの方向性を決めるには強みを生かすのがベスト。強みがたくさんあると出来る職業が多くて一つに絞り込めないので、強みと改善点がはっきりしている人の方が道は選びやすい」ということについてお伝えしたいと思います。
ルミナスパークを使ってキャリアの相談をしていると、自分の結果にガッカリされる方が少なからずいます。もっとスコアが平均的に高い結果を望んでいたのに、スコアが低い資質があることを残念に思うわけです。5年間に3人だけ、全ての色をお持ちの方にお目にかかりましたが、本人が会社員の場合、キャリアの方向性がなかなか決まらなくて悩みが大きいのが現実です。
Aさんは、美大を卒業していて本当は絵描きになりたかったのですが、生計が成り立たないと、大きな画廊に事務職として入社しました。堅実(細かいことが得意)で規律重視なので、事務の仕事への適性はあります。
しばらくして、オーナー社長から「広報」をやってくれないかと頼まれました。
Aさんはビジョン重視(大きな絵が見たい、想像性など)のスコアも非常に高いです。人前でプレゼンするには外向性のスコア値が少し気になりますが、そういう時は人前に出ることが好きなタイプの人に代わってもらうなどして、全く問題なく業務を遂行していました。
さらに時が経過して、NPOを立ち上げようとしている友人に手伝って欲しいと頼まれて、NPO法人に転職しました。人間重視のスコアが非常に高いAさんにとって、共感的・受容力・協力的・親密を活かせるNPO運営もまた適職と言えます。立ち上げは起業と同じなので、高いビジョン重視・結果重視の資質を武器に、NPOを立ち上げることに社会的意義を見出し、充実した数年間を送りました。
NPOに勤めていて残念なところは、給与の水準が低いことです。覚悟をして飛び込んだものの、数年経って生活水準を元に戻したいと思うようになりました。次にAさんが選んだ仕事は、生保のセールスです。営業には結果重視のスコアが重要です。Aさんの細かいデータを見ると、「競争心」以外のスコアは全て高いので、この仕事も適職ということになります。人と競争する気持ちがないので、トップセールスにはなれませんでしたが、良い業績を残せています。
さて、Aさんは39歳になりました。営業の仕事が(正確には”も”)向いているのはわかっていますが、この先も売り上げノルマをクリアするだけの生活をしていて良いのだろうかと迷い始めました。気がつくと全く違う仕事に4つ就き、「あなたは何の専門家ですか」と聞かれた時に答えられません。この先どうしたら良いかというのがAさんの相談内容でした。
いかがでしょう? どの資質のスコアも見事な高さで、何でも出来そうな方にはキャリアを一つに絞りきれないという悩みがあるのです。自分は強みと改善点がきっとはっきりしているだろうなと思う人は、キャリアの方向性を決めるにあたってはラッキーなので安心してください。
話をAさんに戻すと、私はAさんに価値観のカードを並べてもらいました。今現在、Aさんにとって重要な価値は何かを確認するためです。「やりがい「年収」「時間の自由度」など様々な価値観を並べてもらい、最重要の見出しの下に「年収」が入ることがわかったので、コミッション率が低く固定給部分が高いセールスの仕事に移って、結果重視の自分を満足させることを提案しました。ビジョン重視の創造性は、絵を描くことを趣味にすることで満足させます。人間重視の側面は、ボランティアをしたり寄附をしたりすることで充実させることができます。Aさんの場合、自分の資質を全て使える職業に就くことは無理なので、仕事で充たされない部分は仕事以外のことで幸福を感じられるように提案しました。
人には強みと苦手なエリアがあり、強みに特化することでキャリアは花開きます。誰かと自分を比較することなく、それぞれの道を進めますように。
応援しています!
アセスメントツールLUMINAを使う個別キャリア相談はこちら
好評発売中!
鈴木美加子 著『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z』
外資系に転職して活躍できる人、向いていない人、その違いとは――。
人事のプロとして25年間に累計1万人を面接・面談した著者だからこそ知り得る、経験と実績にもとづく“成功する”転職ハウツーを明かす。
Amazon販売ページはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/441323121X/
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。