Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の下に書かれています。
今回の相談者・原田さん(仮名)は49歳の女性です。新卒で入社した日系のメーカーで事務を1年した後、NZのエアラインでCAを勤めました。天職と思えましたが日本オフィスが閉鎖となり、カナダに語学留学をした後に現地で日本法人の社長秘書となり、帰国してから外資系企業で社長秘書をしてきました。AIの進化で秘書の将来性に不安を覚えて、職業を変える必要性を感じています。今から変えることは可能なのか、変えるとしたらどの分野なのかを見極めたいというのが相談内容です。
まず原田さんの4つの色を見ます。
細かいことが得意な青のスコアが高いです。秘書・事務の仕事に向いています。出張のアレンジや会議の手配など完璧にこなし、メールの内容に誤字脱字など無いタイプです。次に人間重視の緑のスコアが高いです。人と関わることが得意で好きなので、原田さんは社員が声をかけやすいと思える怖くない社長秘書のはずです。CAの仕事は緑そのものなので、天職と感じたのは当然です。
キャリア相談の冒頭で「お仕事できますね?」と思わず聞いてしまったのは、赤のスコアのお蔭です。青緑の人は、結果重視の赤のスコアが低いことが多く、何がなんでもやり抜くタイプでは無いことが多いのですが、このスコアなら仕事の締め切りを破るようなことはありえないです。私の質問へのお答えは恥ずかしそうにされていましたが、YESでした。
次に仕事ができる社長秘書の曼荼羅を見ていきます。スコアが高いのは人間重視と内向的です。細かいことが得意にあたる青の領域は、飛び抜けてではありませんが十分高いスコアです。あまり無いのは、大きな絵を見て独創的に革新を起こせる黄色です。
人間と関わるのが好きですが内向的なので、不特定多数と入れ替わり関わる仕事、例えばカスタマーサポートなどは疲弊するとわかります。外国人向けの通訳ガイドのような仕事も適任ですが、相当体力が必要なので年齢を考えると今から始める仕事ではないかもしれません。
次にルミナの特徴の一つである、3つのペルソナを見ます。
人間は複雑な存在なので、家族や親友といる時に見せる「素の自分」、利害関係があるので多少仮面を被るだろう「日常(職場)での自分」、忙しくてストレス下に置かれた時の「行き過ぎた自分」と3つの見せる顔が変わる場合もあると考えます。原田さんのケースはどうでしょうか?
3つの顔の真ん中が彼女の「素の自分です」。人間重視であり内向的なのが本来の原田さんです。職場で見せている顔は、一番右端の緑の顔です。図の中心に近いのでバランスが取れた姿を職場では見せています。ストレスがかかりすぎると、周囲の人間関係や「気持ち」ばかりが気になって、結果を出す方に自分の気持ちが向かわない傾向にあることがわかります。いづれにしても、左上の緑の領域に全ての顔がある、人間重視の人材が原田さんです。
さて24の資質を見てみましょう。緑のスコアがおしなべて高く、柔軟性に至っては100%。100人の人が並んだら最も柔軟性が高いのは原田さんという結果です。人のためにやってあげる仕事、育成に関わる仕事がかなり向いています。細かいことが得意な青は、信頼性があると実践的のスコアが高く、秘書の仕事に実は相当向いているとわかります。
将来を見据えて職業変えをするかどうかですが、現実的に変更できるかを考えると年齢から来る難しさもあるのは事実です。将来に備えて、社長秘書プラスαに出来ないかを考えることにしました。原田さんに向いていて、社長秘書の仕事からかけ離れていない職業というとオフィス・マネジャーがあります。総務に近い仕事で、ファシリティ・マネジメントを含みます。大企業には経験豊かな人材がいて、空きポジションが出たら経験者しか採らないので、小規模のオフィスで、一人の人材がいろいろ幅広く仕事をしないといけない、出来そうという理由で未経験でも任せてもらえる職場に転職することになりました。
AIの進化に伴い、自分の仕事の市場価値に変化が出そうかどうかを考えるのは大切です。これまでの経験を捨ててゼロから新しい仕事をすることはあまり現実的ではないですが、現職に何か新しいことを足すという発想はあり得ます。いづれにしても、将来を見据えたキャリア形成を考えましょう。ルミナを使って適職を考えたい方はこちらをご覧ください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。