Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。今回は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の元に書かれています。
今回の相談者・工藤さんは、54歳の女性です。大学卒業後、輸入家具・雑貨を手がける企業で、店舗の立ち上げ・仕入れ・オリジナル商品の企画開発・社員教育など幅広く20年間勤務しました。アメリカへの留学を経て、商業施設をマネジメントする会社に勤務しています。企業風土が古く、女性が昇進できないことに不満があり、この先、この会社に留まるべきかどうか再考するのが最初の課題です。次に、もし外部に転職する場合、さまざまな職種を経験して外資で言う「専門性」が見出しにくいため、どの分野に進むのかがご相談内容です。TOEICは800点くらいです。
まず4つのカラーを見ます。
工藤さんの一番スコアが高い色は、ビジョン重視の黄色です。90%、つまり100人並んだ時に、前から10番めくらいにいる大きな強みです。大雑把に言うと、マーケティング・起業家・アーティストに向いています。これまでの経験の中で、商品企画の仕事が一番楽しかったと躊躇なく話されるのは、黄色のスコアが高いからと思われますが、確定するのはもっと精密なデータを見てからにしましょう。
次に、工藤さんのマンダラを見ます。 強みは、直感重視・ビジョン重視・外交的・結果重視になります。内向的のスコアもそれなりに高いので、一人で過ごせる時間を確保することが、幸せ感に繋がる鍵になります。とてもアクティブで外向きに見えますが、実は常に人の輪の中にいたいわけではないことが明らかで、職場選びの鍵になりそうです。
あまりお持ちでない資質は、規律重視・堅実(細かいことが得意)・人間重視です。ルールに従うだけのルーティン・ワークや、細かい作業を漏れなく行うことは不得意です。
人間重視の平均スコアが低いことは、冷たいことを意味するわけではありません。完了させるべきタスクがある時、周囲への配慮より仕事を終わらせることを優先させるタイプだということです。
適職を決める前に、上記のマンダラを支えている全てのデータを見ます。特に、一番の強みである黄色(ビジョン重視)の内訳がどうなっているかです。
ルミナには3つのペルソナが存在します。人間は複雑なので、家族や親友と一緒にいる時の自分(内在)と、職場では利害関係もあるので仮面を被っている可能性がある自分(日常)、ストレス化の自分(行き過ぎた)の3つの顔があると考えます。
工藤さんは、生まれながらに持つ想像力と革新性を抑えて仕事をしています。「今までのやり方でいい」という職場環境で、変えることは求められていないそうです。ここは工藤さんの大きな強みなので勿体ないです。
今まで身を置いてきた家具・雑貨・商業施設は、黄色の分野なのでどれも向いています。重厚なものより、フィーリング・センス・お洒落・楽しい分野でより強みを発揮できます。
あとは、どうやって仕事を探すかです。通常、50歳を超えるとお声がかかりにくくなるのが労働市場の常ですが、工藤さんの素晴らしいところは、人脈から2つのお話がすでに入ってきています。
45歳くらいまで、外資の仕事力は、専門性 x 英語力のトータルスコアで決まります。45歳を超えると、専門性 x 英語力 x 人脈力と、3つの項目の掛け算になります。今から彼女のように人脈を構築する努力を始めておきたいものですね。
工藤さんは、二つのお話のどちらも面接に行き、ルミナの結果を元に、より自分にフィットする転職先を決めることになりました。
今後のキャリアの方向性を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。