Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは、ゲストの食事制限について英語で上手に聞くコツです。
毎朝主催しているグローバル人材塾のClubhouse朝活に、元・ゴールドマン・サックスなど外資系勤務の経験を持ち、ビジネス英語の本も出版しているマヤ・バーダマンさんがゲスト参加してくださいました。テキストは、マヤさんの著書「英語で仕事をすることになったら読む本」です。英語で仕事をするようになった日本人のお困りごとをアンケートで集めた結果を元に執筆されており、内容が実践的なのが特徴です。
マヤさんご自身も食事制限にまつわる実体験をたくさんお持ちでした。例えば社内イベントで、ベジタリアンの方の食べ物が野菜だけのサラダ(ドレッシングなしで塩、胡椒、ビネガーとオリーブオイルのみ)と具のないおにぎりになったことがあるそうです。
事前に食べ物の制限やアレルギーを聞いたところ、”キャビア・アレルギー“の人もいたそうです。社内イベントにキャビアが並ぶことは無さそうですが、人の体質や好みは多種多様なことの現れですね。
私もモルガン・スタンレーに勤務していた時、ニューヨーク本社から2人の正統派ユダヤ人が来日し、Kosher(コーシャー)ミールの手配ができず四苦八苦した経験があります。スイスの機内食専用のKosher専門店に電話したり、JALのカスタマー・サービスに連絡したり、大騒ぎの末、大手町まで生の野菜と果物を2週間運ぶ覚悟すらしました。最終的には、ゲスト2人がスーツケースに2週間分の真空パックのKosher Mealを忍ばせて持ち込むことに。成田でスーツケースが開けられないことをただただ祈りました。
世界は広く、宗教や文化的な制限がほとんどなく、何を食べてもいい日本と同じ方々ばかりではありません。前もって食事制限について聞いておく事は、こちらが慌てないで準備するためにも大事なことです。
お役立ちフレーズとしては、
Is there anything you don’t eat?
があります。日本人としては”can’t”を使いたいところですが、”don’t”の方が宗教や文化の理由やアレルギー以外にも、自ら食べないことを選択している食品も含めて、気軽に聞くことができるそうです。
他には、
Is there anything you’d prefer not to eat?
「食べない方が良いものはありますか?」「避けたいものはありますか?」という感覚です。
また多様性が高い職場での社内イベントの前や、ポストコロナに増えるだろう海外からの出張者に、前もってメールで尋ねるためには次のフレーズが役に立ちます。
If you have any dietary preferences, please contact XXX@gmail.com.
この文章でのポイントは、”dietary”でしょう。ネイティブでないとつい、”food preferences”とか”eating preferences”と書きがちです。これらは食べ物の「好み」を聞く用途には使えますが、宗教上や体調からくる理由で食べられない物を確認する時には使えません。”dietary”は日常的にあまり使わない単語なので、即座に出るようにしておきたいです。
なぜ食べられないのか、理由まで聞いてしまうと、プライベートの領域に踏み込むことになりますので、先方から話さない限りこちらから尋ねることは避けましょう。
大都会でもベジタリアンの外食はまだまだ苦戦するのが日本です。前もってゲストの食べ物制限を把握して、ゲストご自身もお迎えする私たちも、ストレスフリーに過ごせるように準備したいものです。
参考英語文献
『英語で仕事をすることになったら読む本』
マヤ・バーダマン著
アルク出版
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。