Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは「感謝の言葉を口にして働きやすい職場にしよう」です。
皆さんは、会社の上司・同僚・部下に感謝の気持ちを伝えていますか? 取引のある外部の方々へはどうでしょう? 本日は、仕事仲間に感謝の気持ちを伝えられると、応援されるし仕事がやりやすくなるというお話です。
私はある時期まで完璧主義、どちらかというと減点主義な人でした。せっかく部下が一生懸命やってくれているのに、つい足りない所に目が向いてしまう人でした。日本人はホフステード異文化論からもわかる通り、高み(100点)を目指すところがある国民性なので、完璧主義の人は多いかもしれません。
他人に厳しくて自分に甘い上司では成り立たないので、結局、自分に対する評価も厳しいことになり、いつも張りつめている必要があり悪循環だったように思います。
キャリアの後半で、部下に感謝することが上手なオーストラリア人が上司になり、私の考え方は変わりました。人間は、感謝された方が嬉しいです。照れてうまく反応できない人も日本人には多いかもしれませんが、心の中では嬉しいものです。自分だけでなく、自分のチーム・メンバーを褒めてもらえことも私を幸せな気分にしました。
彼女との毎週の1 on 1(1対1の定例ミーティング)の時、彼女はまず感謝することからスタートします。”Kazu told me your team delivered a great training program for his team. Thank you for everyone`s contribution.” (カズさんから、素晴らしい研修を行ってくれてありがとうと言われましたよ。みんなに私からも感謝してると伝えてね。)と言う風に。
私に直してもらいたいことがあって、ネガティブなフィードバックをする必要がある時は、その後で口にします。聞く側としてはこの方が素直に聞く気持ちになります。
逆だったらどうでしょう。ミーティングの冒頭でいきなり批判されて、後から”By the way, your team is doing great! Thank you for your leadership” (チームで素晴らしい仕事をしてくれてありがとう。あなたのリーダーシップのお蔭ね。)なんて言われても有り難みがないし、取ってつけたような言葉だと感じますよね。まずは褒めたり感謝して、それから建設的なネガティブ・フィードバックに入るのが、彼女のコミュニケーション・スタイルでした。
私は彼女の元でマネジメントを学ばせてもらってから、感謝を先にするよう心がけています。若輩者なので、全ての場合にそうなっているかどうかはまだまだですが、努力はしています。
職場で外国人、もしくは海外・外資が長い日本人とお仕事している時は、何かにつけ”Thank you”と口に出すことが大事です。相手は文化的背景から、このぐらいのことをしたら「ありがとう」と言ってくれるものと期待しています。「ありがとう」が無いと実は不満になることもあるぐらいです。
私は、会社員の最後の10年、直属の上司はいつも外国人でしたが、ある時アメリカに住んだことがある日本人の上司にお仕えした時に、褒められないし「ありがとう」も言われなさすぎて自分の業績レベル自体を不安になりました。ついに最後には”Am I meeting your performance expectation?” (私の業績レベルは足りていますか?)と聞いてしまったほどでした。”You are doing great.” と言われた時は、実は非常に驚きました。長い間、外国人の上司にお仕えして、何かあれば”Thank you” とか “Well-done”と言われることに慣れてしまい、何も言われないということはちゃんとできていないと誤解したようです。
日本人同士でも、感謝の気持ちを伝えられると人間関係がスムーズになり仕事もはかどりますので、是非やってみてください。まずは自分から”Give”の精神が大事です。相手が「ありがとう」と言ってくれないのに、なんで私が/俺が言わなきゃいけないんだと感じるかもしれませんが、変法性の法則でほとんどの方は返してくれて、職場環境がスムーズに廻り始めます。
職場でいきなりキャラクターを変更することが難しい場合は、家族や友人で試してみれば効果はすぐわかります。確かに職場でスキル・経験が大事ですが、どの職場でも人間関係はつきもので、ここがうまく廻らないとストレスが高いばかりでなく、生産性も低くなってしまいます。
「ありがとう」を自分から言い、良好な人間関係を築くことが英語人相手でも日本人相手でもとても重要というのが本日のテーマでした。まずはやってみてください!
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。